社会保険労務士試験に合格するには、過去問題集は外せない中心となる教材です。
独学だけでなく、どの勉強法であっても「過去問」は重要教材になります。
社労士試験は合格率が低く、難しい試験とされていますので、「過去問中心で合格できるの?」と思う人がいるかもしれませんね。
私は基本テキストと過去問題集中心の勉強で社労士試験に合格できました。
基礎知識や実務経験などの違いはありますが、いろいろな教材に手を広げるよりも教材を絞って完成度を高める方が効果があるということは、多くの合格者が実証していることだと思います。
社労士試験で「過去問」が重要なことはわかっても、どのように使ったらいいのか?次のような疑問を持つ人は多いでしょう。
- 「過去問は何年分やればいい?」
- 「問題集は何周すればいい?どうやって復習する?」
- 「選択式・択一式の違いは?」
- 「解くだけで意味あるの?」
ここでは、こうした疑問を解消しながら、社労士試験の「過去問」活用について解説していきます。
社会保険労務士の試験対策と過去問題集
社労士試験に合格するなら「過去問」演習は欠かせません。では、なぜそれほどに過去問が重要なのでしょうか?
なぜ過去問が重要なのか?
「過去問」が重要なのには、大きく3つの理由があります。
①本試験の出題傾向は過去問にある
社労士試験では、過去に出題された論点の再登場が頻繁にあります。
数字・語句・制度改正の表現こそ変わりますが、「どんな論点が問われるか」は大きく変わりません。
過去問を徹底して分析することで、本試験の出題傾向を把握することができます。
②問題のパターンごとに対策ができる
社労士試験の問題は、一見正しそうに見える選択肢が多いです。
自信を持って解答したはずの選択肢が不正解で戸惑うことも少なくありません。
特に択一式では、語尾や数字の微妙な違いでミスを誘う問題も目立ちます。
過去問で「引っかけのパターン」に覚えた知識から正しい選択肢を選び、正答率を上げることができるようになります。
③問題の形式に慣れる
選択式と択一式では、問題の解き方が変わってきます。
過去問を通して問題に慣れておくことで、知識の定着と実践力を磨くことに役立ちます。
過去問題集の演習期間
過去問題集は基本テキストの学習が終わったら、取り組もうと考えている人がいるかもしれません。
過去問は学習の初期から直前期まで繰り返し活用してこそ効果があります。
学習初期
✓インプットと併用する
基本テキストのインプットと併用して、学習した範囲の問題を解きます。正解できなくても気にしなくて大丈夫です。
なぜ正解できなかったのか、テキストに戻って理解できるまで熟読します。
学習中期
✓自力で問題を解く
過去問→テキスト→過去問を繰り返して、自力で解ける問題を増やしていきます。正解できた問題も根拠を説明できるレベルまで理解を深めます。
学習後期
✓8割以上の正解を目指す
過去問の正解率8割以上を目標にアウトプット中心で演習力を鍛えていきます。間違えた問題だけをピックアップして、正解できるまで繰り返します。
過去問題集の優先度
過去問は少なくても5年、できれば10年分に取り組みましょう。
10年分は1周できなさそうということであれば、5年分を複数回する方が効果は高いでしょう。
ただし、選択式は設問のパターンが重要なので10年分の蓄積が役立ちます。
- 労基・安衛/労災/雇用/徴収/健保/厚年
→ 法改正・重要論点が過去問に出やすい
- 国年/一般常識(労一・社一)
→ 過去問だけで対応しきれない部分もあるが、頻出論点は必ず押さえる
過去問題集の活用ステップ
過去問は繰り返してこそ力がつきます。私は10周することを目標に取り組みました。
ステップ①|1周目
1周目は正解・不正解より「選択肢の意味」を重視します。
項目 | チェック |
---|---|
テキストと一緒に「なぜその選択肢が正誤なのか」を確認する | □ |
選択肢ごとに重要語句・数字をテキストで確認する | □ |
「〇」「△(あいまい)」「×」など記録を残す | □ |
ステップ②|2周目
2周目は根拠を自力で説明できるレベルまでに精度を高めます。
項目 | チェック |
---|---|
テキストなしで挑戦して、根拠を自力で説明できるか確認する | □ |
間違えた問題は、なぜ間違えたかをテキストでチェックする | □ |
正解した問題も、理解があいまいであれば根拠を確認する | □ |
ステップ③|3周目以降
3周目以降は、問題を読んで根拠が思い浮かぶレベルに実践力を磨いていきます。
- 択一式:1問3分以内
- 選択式:1問8~10分程度
ステップ④|間違えた問題を記録
繰り返し取り組んでも間違える問題は出てきます。理解が完全にはできていない問題や重要な問題をピックアップします。
項目 | チェック |
---|---|
自分専用の「弱点ノート」を作成する | □ |
選択肢単位でなぜ間違えたかを書き出す | □ |
このノートだけを復習する(知識を定着させる) | □ |
ステップ⑤|選択式対策を強化(直前期)
選択式は瞬発的に知識を再生できるレベルにすることが必要です。
項目 | チェック |
---|---|
選択式問題だけを10年分繰り返す | □ |
白書・統計・法改正の語句はこの時期に対策を徹底する | □ |
過去問活用の間違い
「過去問」は活用法を間違えると、効果がほとんどなくなってしまう可能性があります。
間違い①|暗記してしまう
繰り返すことで、正解は覚えてしまうかもしれません。過去問の「答えを覚えるだけ」になってしまうのは間違った使い方です。
→ 正誤を丸暗記するのではなく、根拠の理解と周辺知識の補強が重要です。
間違い②|1回解いて終わりにする
1回解いて正解できたから、終わりにすると効果が半減します。
→ 合格者の多くは同じ問題を3回以上は繰り返して定着させています。
間違い③|年度順に進めてしまう
自信を持って解答できる問題と正解できても根拠があいまいな問題を年度順に機械的に解くのは、効果的ではありません。
→ 頻出論点・苦手科目など、目的別に絞って取り組むことをおすすめします。
社会保険労務士試験のおすすめ過去問題集
過去問題集は、基本テキストに選んだシリーズで出版されていれば、同じシリーズを使った方が進めやすいと思います。
おすすめの基本テキストについては、「社労士試験は独学できる?おすすめ市販テキスト(2025年版)」の記事でご紹介しています。
おすすめした基本テキストと同じシリーズの過去問題集はこちらです。
みんな欲しかった!社労士シリーズの過去問
直近5年分の過去問で知識の仕上げができます。
出る順社労士シリーズの過去問
本試験の問題形式をそのままに、項目別に並べなおした問題集です。実践的な過去問演習ができます。
労働編と社会保険編に分かれています。
ごうかく社労士シリーズの過去問
コンパクトにまとまっていて1冊で合格レベルを目指せます。
よくわかる社労士シリーズの過去問(労基・安衛・労災)
おすすめした基本テキストのシリーズではありませんが、過去問題集は別途、準備して取り組みたいという人にはこちらをおすすめします。
科目別・項目別に一問一答形式で解くタイプの過去問題集です。科目別ですので、全科目そろえると4冊になります。
過去問題集の書籍情報
項目 | みんなが欲しかった!シリーズ | 出る順社労士シリーズ(労働編) | ごうかく社労士シリーズ | よくわかる社労士シリーズ過去問① |
---|---|---|---|---|
収録年数 | 5年分 | 10年分 | 10年分 | 10年分 |
出版社 | TAC出版 | 東京リーガルマインド | 中央経済グループパブリッシング | TAC出版 |
発売日 | 2024/12/05 | 2024/11/27 | 2024/12/09 | 2024/09/27 |
ページ | 356ページ | 934ページ | 1024ページ | 432ページ |
価格 | 3,300円 | 1,980円 | 4,400円 | 1,650円 |
まとめ|社労士試験は「過去問=最強の教材」だと信じよう!
社労士試験の合否を分けるのは、「過去問の使い方」であるといっても過言ではありません。ただ順番に解くのではなく、理解度と復習の質が重要です。
すぐに正解できるようにならなくても、「正解した理由」「間違えた理由」を説明できるように地道に進めていけば合格が近づきます。
📌 大切なのは「解いた数」ではなく「理解度」と「復習の質」
📌 「正解した理由」「間違えた理由」を説明できるかが合格のカギ
今からできるアクション
「1周目は理解重視」「2周目は自力解答」「3周目以降はスピード&弱点対策」 の流れが基本です。
項目 | チェック |
---|---|
5~10年分の過去問題集を用意した | □ |
1周目:テキストを確認しながら解いた | □ |
2周目:テキストなしで挑戦して、自分で正誤の根拠を説明した | □ |
3周目:問題に対する瞬発力と理解力を磨いた | □ |
間違えた問題を記録して、復習した | □ |
選択式の語句を別ノートで整理した | □ |
重要論点・頻出テーマをまとめた | □ |
苦手問題だけピックアップして繰り返した | □ |
正答率が8割を超えるまでに仕上げた | □ |
- 過去問を5~10年分そろえて、解いた記録を残す
- 頻出テーマ・苦手問題をピックアップする
- 週に1回は自作ノートで「知識の棚卸し」をする
社労士試験に合格するために「過去問」が最強の教材であることは間違いありません。過去問活用の参考になれば幸いです。
参照:各書籍、各出版社ウェブサイト