社会人が資格取得を目指すとき、
「キャリアアップしたい」
「今とは別の仕事がしたい」
「転職・就職を有利に進めたい」
などの目的があるはずです。私は人事部勤務で転職したいと思い、社労士の資格を取りました。
資格取得を目指す社会人にとって、「どの資格が役立つか?」ということは、とても気になることではないでしょうか。どの資格が役に立つかはその人が目指すキャリアによって変わってきます。
社会人がお金と時間をかけて、資格を目指すのであれば、自分に合った資格を選び、取得するまで勉強を続けられるかということが重要になります。
ここでは社会人に役立つ資格についてキャリアごとにご紹介します。
社会人に役立つ資格
資格には、その仕事をするために必要となる資格から趣味を楽しむ資格まで数多くのものがあります。
資格の種類は、「国家資格」、「公的資格」、「民間資格」に大きく分けられます。資格取得を目指すとき、それぞれの特徴を理解しておくと、自分の目的に合った資格を選ぶことに役立ちます。
国家資格とは
国家資格とは、法律に基づいて、国あるいは国から委任を受けた機関が実施する資格や試験です。 社会的信頼性が高く、安定性があり、人気資格が多くあります。
業務独占資格
業務独占資格とは、特定の業務を行うために取得することが必要になる資格のことです。 資格がなければその業務を行うことができません。
- 専門性を証明できる
- 転職・就職でアピール材料になる
- 独立開業で有利になる
名称独占資格
名称独占資格とは、資格を持っている人以外がその呼称を使用することができない資格のことです。 その資格を名乗ることはできませんが、資格がなくても同様の行為をすることはできます。関連する業界や職種では、資格取得を奨励している企業もあります。
- 手当や給与アップが期待できる
- 業務の専門性を高めることができる
- 転職・就職でアピール材料になる
必置資格
必置資格とは、企業や事業所を運営するうえで、規定人数以上の有資格者を置かなければならない資格のことです。企業や事業所の規模によって必要とされる人数に違いはありますが、必要とされる業種や職種のキャリアでは、必ず役立てることができるでしょう。
- 手当や給与アップが期待できる
- 昇進・昇給に役立つ可能性が高い
- 比較的取得しやすい資格もある
公的資格とは
公的資格とは、地方行政機関(商工会議所、中央職業能力開発協会を含む)や、それに準ずる機関が実施する資格や試験です。 資格を取得すると一定の能力やスキルを証明することができます。実務に即した能力やスキルのレベルを認定する資格は客観的な実務能力の証となります。
- スキルアップに役立つ
- ビジネスで評価される
- キャリアアップを目指せる
民間資格とは
民間資格とは、各協会、団体、企業などが独自に実施する資格や試験です。 スキルを身につけるものから、趣味を極めるものまでさまざまな資格があります。 実施団体や受験者数、認知度などにより資格の信頼性には幅があります。受験者数が多く、認知度が高い民間資格は社会から必要とされている知識やスキルであるといえます。
- スキルアップに役立つ
- 手当や給与アップを期待できる場合がある
キャリアアップを目指せる資格
社会人になってから資格を目指す人は、多くの場合、キャリアに活かしたいと考えているでしょう。 社内でのキャリアアップやスキルアップ、転職や独立などのキャリアチェンジ、副業を考える人も多くなっています。 資格を目指すには自分のキャリアに活かせる資格を選ぶことからスタートします。
経理・財務系
経理・財務系の資格は、企業規模にかかわらず、すべての企業活動で必要となるスキルを身につけることができます。 経理・財務担当だけでなく、あらゆる業種や職種において役立てることができるでしょう。
- 日商簿記検定(公)
- 税理士(国・業務)
- 公認会計士(国・業務)など
金融系
金融業界には特有の資格が多く、業界内でのキャリアアップにおいては必須となっています。また異業種から金融業界を目指す場合にも資格は取得しておいた方がよいでしょう。
- 証券アナリスト(民)
- FP技能士(国)
- 貸金業務取扱主任者(国・必置)など
経営・管理系
経営・管理系の資格は企業の戦略に関わるスキルの向上に役立ちます。 企業活動を支える部署で活かすことができます。
- 中小企業診断士(国・名称)
- 社会保険労務士(国・業務)
- 衛生管理者(国・必置)
- メンタルヘルス・マネジメント(公)など
IT・技術系
IT・技術系の資格はスキルレベルを客観的に証明することに役立ちます。 企業経営をサポートするスキルとして、IT企業や技術職以外からも高いニーズがあります。
- 情報処理技術者試験(国)
- Linux技術者認定試験(民)
- 技術士・技術士補(国)など
建設・不動産系
建設・不動産系の資格は専門性が高く、業務独占や必置の国家資格が多くあります。 企業が求める資格としても常に上位の人気資格です。
- 建築士(国・業務)
- 施工管理技士(国・必置)
- 宅地建物取引士(国・業務)
- 管理業務主任者(国・必置)
- マンション管理士(国・名称)
- 電気工事士(国・業務)など
法律・士業系
法律・士業系の資格は専門性が高く、難易度も高めです。 独立可能な資格が多いですが、企業内でスペシャリストとして資格を活かすこともできます。
- 弁護士(国・業務)
- 弁理士(国・業務)
- 行政書士(国・業務)
- 通関士(国・業務)など
福祉・介護系
福祉・介護系の資格はニーズが高く、求人も安定しています。 一生の知識・スキルとして資格を活かすことができます。
- 介護福祉士(国・名称)
- 保育士(国・名称)
- 歯科衛生士(国・業務)
- 医療事務(民)など
その他
必置資格は設置が必要とされている企業や事業所で高く評価されます。その仕事をするうえで必ず役に立つといえるでしょう。
- 危険物取扱者(国・必置)
- 旅行業務取扱管理者(国・必置)
- 登録販売者(国・必置)
- 運行管理者(国・必置)など
まとめ
資格は専門性が高くなれば、難易度も高く、取得が難しくなります。 それだけでキャリアに有利な資格もあれば、経験とプラスして活かせる資格もあります。専門性が高く、難しい資格であっても、自分のキャリアに合っていなければ役に立ちません。
どの資格にも共通していえることだと思いますが、学歴や実務経験に自信があって、社内の評価にも満足している人、転職や独立などキャリアチェンジを考えているわけではない人にとっては、資格が必ずしも役に立つとは限りません。 資格の特徴を理解して、これまでの自分のキャリア、これから目指したいキャリアに合った資格を選び、活かしていくことが大切です。
ちなみに私は人事部勤務で転職しようと考えたことがきっかけで社労士の資格を取りました。合格してしばらく達成感に浸っていたことや社内での評価がアップしたことなどで結果的に転職することは見送ったのですが、自分のキャリアにとって役立ったと思っています。
資格を取得することで資格手当が出たり、希望する仕事ができるようになったり、転職に成功したりすることはもちろん大きいですが、仮にそういったことがなかったとしても自信をもって仕事ができるようになれば、評価がアップするなど結果的にその人のキャリアに役立つことになると思います。キャリアアップを目指す人にとって何かの参考になれば幸いです。
①キャリアアップを目指せる資格を見極める
②教育訓練給付制度(資格取得に使える支援)を知る
③転職・就職に有利な士業資格を取る
④転職で必要とされるTOEIC対策をする
⑤キャリアアップ転職の戦略を立てる
⑥秘密保持・競業避止義務に注意する
社労士と中小企業診断士のダブルライセンスについてはこちらの記事でご紹介します。

社会人の大学進学についてはこちらの記事でご紹介します。

参考:厚生労働省、経済産業省、各試験実施機関