管理部門とは、企業の経営や組織運営を担当する部門です。具体的には、人事、総務、経理、財務、法務、企画といった組織で、その業務に携わる職種を管理系人材といっています。
デジタル化の進展や働き方の多様化の影響で管理系人材に求められる役割にも変化が見られます。
ここでは、人事部社員でキャリア採用を担当した経験から、管理系人材の転職戦略についてご紹介します。
管理系人材の転職市場
デジタル化やリモートワークの普及など働く環境の変化により、管理部門も大きな変化を迎えています。業務プロセスは、自動化やデータ活用に移行しつつあり、人手を必要とする業務は減少傾向です。
社会の変化に対応していくためには、管理系人材にも新たなスキルが必要とされるようになっています。
転職市場の動向
働く環境の変化に伴い、管理系人材の転職市場は活発になっています。計画的に準備をすれば、キャリアアップのチャンスがあります。
DXの進展
企業がデジタル化を推進するなかで、新たなシステムやプロセスを導入する必要があります。環境の変化に伴い、ITに強い管理系人材のニーズが増加しています。
グローバル化の進展
海外展開を進める企業では、多様な文化に対応できるマネジメントが求められています。
働き方の多様化
リモートワークやテレワークが広がり、管理部門の役割にも変化が見られてます。柔軟な対応ができる人材のニーズが高くなっています。
管理部門で求められるスキル
管理部門では、職種ごとに異なる専門知識やスキルが求められますが、共通して必要とされる汎用的なスキルもあります。
共通するスキル
管理系人材には「経営パートナー」としての役割も期待されています。単なるサポート業務に留まらず、経営陣と連携し、戦略的な意思決定を支えるためのデータや分析結果を提供するスキルが評価されます。
- コミュニケーション力
部門や立場を超えて情報を調整し、適切に共有する能力は、管理部門で不可欠です。 - 問題解決力
業務の効率化や課題への対応を迅速かつ効果的に行うための力です。 - ITスキル
Excelやクラウドツールのスキルが評価されます。
転職に有利な資格
経理の日商簿記のようにそれぞれの職種で有利となる資格があります。管理系人材の転職では実務経験とセットで資格取得が武器になります。
人事の転職で有利な資格はこちらの記事でご紹介します。

総務の転職で有利な資格についてはこちらの記事でご紹介します。

法務・知財の転職で有利な資格についてはこちらの記事でご紹介します。

管理系人材のキャリアアップ戦略
管理系の求人は、営業職や技術職に比べて多いわけではありません。限られたチャンスで成功をつかむ必要があります。求人が多い業界としては、IT業界やスタートアップ企業が挙げられます。
これらの業界では柔軟な対応力を持つ人材を求める傾向が強く、転職希望者にとっても成長機会が多い環境といえます。
自己分析を徹底する
- これまでの経験や実績を振り返る
- 自分の強みと弱みを明確にする
- キャリアビジョンを描く
業界・企業研究をする
転職先として希望する企業の業界動向やビジネスモデルを理解して、自分がどのように貢献できるかを考えます。
転職エージェントを活用する
管理系人材に強い転職エージェントを活用することで、非公開求人の紹介や転職サポートを受けられます。
- リクルートエージェント
国内最大級の求人数を誇り、管理系の求人も多数保有しています。幅広く業種・職種に対応しているので、さまざまなキャリアの可能性を検討したい人に向いています。 - JACリクルートメント
外資系企業やハイクラス向けの転職支援に強みがあります。グローバルに活躍したい人に向いています。 - エンワールド・ジャパン
外資系企業や日系グローバル企業の転職に強みがあります。英語力を活かしてキャリアアップしたい人に向いています。 - パソナキャリア
管理系職種の求人が多く、キャリアの選択肢が広がります。丁寧なキャリア相談やサポートを希望する人に向いています。
スキルを磨く
管理系人材として市場価値を高めるために、ニーズに合ったスキルを磨いておくことが重要です。
- データ分析・ITスキル
- 語学力
- リーダーシップ・マネジメントスキル
面接対策をする
面接では、転職理由やこれまでの実績、今後のキャリアプランについて具体的に伝えられる準備をしておきましょう。
「なぜ管理部門で働きたいのか」という質問には、自分のキャリアプランと結びつけて答えると効果的です。
管理系人材の転職リスク
管理部門は同じ職種であっても業界や企業によってかなり違うことがあります。事前に違いを理解しておくことで、入社後のギャップを防ぐことができます。
企業カルチャー
同業種同規模の企業であっても、企業文化が全く違うということはよくあります。入社前にできるだけ職場の雰囲気を理解するようにしたり、前の企業カルチャーを引きずらず、自分から溶け込むように心掛けたいところです。
仕事のやり方・進め方
同じ職種の転職だから、転職後も「スムーズに仕事を進められるはず」と思っていたのに、仕事のやり方が全く違うということはよくあります。「自分のやり方の方が効率がいい」とストレスに感じてしまうことがあるかもしれません。
まずは新しいやり方を受け入れなければ、転職先に馴染むことはできません。受け入れることで、その会社なりのルールを理解できる場合もあります。
大企業から中小・スタートアップ企業
大企業では当たり前だと思っていたことが整備されていないことで、想像以上のカルチャーショックを受けるかもしれません。
中小企業・スタートアップ企業では受け身の姿勢ではなく、主体的に自分で動くことが前提となります。慣れれば任されることが増え、それがやりがいになっていくでしょう。
中小企業から大企業
大企業では調整や連携などチームプレイが必要となり、意思決定スピードが遅いと感じることがあるでしょう。大きな組織で動くルール、進め方を理解することが早く慣れるポイントになります。慣れることで、仕事もスムーズに進められ、評価されるようになるでしょう。
日本企業と外資系企業
日本の企業では、職務をそこまで限定せず、「何でもやってくれる」ことが評価されたり、上司との関係や根回しで仕事を進めるスタイルも多いですが、外資系企業では職務として求められるものが、はっきりしています。
その分、責任もはっきりしているといえます。まずは自分が任された範囲の仕事で成果を出すことが要求されます。どちらかの文化に慣れていた人にとっては、大きな発想の転換が必要となります。文化、価値観の違いを体感して慣れていくことが大切です。
管理系人材のキャリア
管理部門は、今後も進化を続けると考えられます。デジタル化やAIの導入が進むことで、事務手続きはますます自動化され、人が担うべき業務は「戦略的」かつ「創造的」なものへとシフトしていくでしょう。
このような変化は、管理系人材にとって新たな挑戦であると同時に、大きな成長の機会でもあります。
また、キャリアパスとしては、管理部門での経験を活かして経営企画や事業戦略部門へ転身するケースも少なくありません。このように、管理部門での経験は、幅広いキャリアの可能性を広げる基盤となります。
転職前の可能性
- 社内での昇進や異動、キャリアチェンジの可能性も考える
- 転職だけでなく、副業やフリーランスの可能性も考える
まとめ
管理部門は、企業の円滑な運営を支える重要な存在であり、その役割はますます多様化、重要化しています。
デジタル化が進むなかで必要とされるスキルも変化していますので、そこに対応することで、管理系人材のプロフェッショナルとしてキャリアアップを目指すことができます。
管理系人材のキャリアでは、これらの変化をチャンスと捉え、新しいスキルを習得しながら、自分の可能性を広げていくことをおすすめします。
管理系人材の転職は、社会の変化に対応しながら、チャンスをものにしなければならないという難しさがあります。キャリアアップ転職の準備と戦略の参考になれば幸いです。
①キャリアアップを目指せる資格を見極める
②教育訓練給付制度(資格取得に使える支援)を知る
③転職・就職に有利な士業資格を取る
④転職で必要とされるTOEIC対策をする
⑤キャリアアップ転職の戦略を立てる
⑥秘密保持・競業避止義務に注意する
参考:厚生労働省、ハローワークインターネットサービス