外資系企業の転職人気が高くなっています。人事部門は、企業方針や経営戦略と深く結びつくため、外資系企業においても重要な役割を果たします。
日本企業の人事部門から外資系企業のHRへの転職を成功させる人も多くなっています。
ここでは、外資系企業のHRへ転職するために必要なスキルから求人の探し方、エントリーについてご紹介します。
外資系企業への転職
外資系企業に、厳密な定義があるわけではありませんが、国際比較などには「外国資本が単独で10%以上出資している企業」という基準が用いられています。
外資系企業となるのはおおむね以下の企業です。
- 外国法人又は外国人が株式又は持分の3分の1超を所有している企業
- 外国法人又は外国人が株式又は持分の3分の1超を所有している持株会社が出資する企業であって、外国法人又は外国人の直接出資比率及び間接出資比率の合計が3分の1超となる企業
- 上記1、2いずれの場合も、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業
外資系企業のHR
外資系企業のHRは、日本企業の人事部門と担当する業務や求められる役割が異なります。
ビジネス英語
外資系企業では、グローバル企業である海外本社との連携が必須となるため、業務上英語を使う機会が多くなります。
英語のスキルは、日常会話以上のビジネス英語で、採用面接や社内会議、レポート作成などでも重要になります。
一方で、多くの外資系企業は日本市場向けのビジネスを行っていますので、日本語のスキルも評価されます。
多文化の理解
外資系企業では、多様な文化背景を持つ同僚や上司、社員と仕事をする機会が多くなります。異文化への理解力や、文化の違いを尊重したコミュニケーション能力が求められます。
戦略的な人事業務
外資系企業では、HRが経営戦略の一部として機能しています。戦略そのものは海外本社で決められますので、日本のHRにどのような働きが期待されるかは企業によって変わってくるでしょう。
成果主義の文化
外資系企業は成果主義を重視するため、HRもKPIやOKRなどの指標に基づいて評価されます。目に見える成果を出すことが求められます。
求められるスキルと経験
外資系企業のHRとして活躍するには、次のようなスキルと経験が重視されます。
必要なスキル
- ビジネス英語(TOEIC800以上が望ましい)
- コミュニケーション力(日本語のスキルも重要)
- 問題解決能力
- HR関連の専門知識
- 労働関連の法的知識
- データ分析スキル
必要な経験
- 人事関連の実務経験(3年以上が望ましい)
- 外資系企業やグローバル環境での勤務経験
- プロジェクトマネジメントの経験
- 海外拠点との業務経験(あれば有利)
グローバル人事資格
グローバル人事としてプロフェッショナルを目指すのであれば、世界基準の人事資格を取得すると有利です。
GPHR
PHR(Professional in Human Resources)は、多国籍な環境で働くために必要な人事知識を得ることができる資格です。
キャリアに応じて種類があり、GPHRは、国際的なHRマネジメントに特化し、多国籍企業や海外事業展開を行う企業の人事担当者向けの資格です。
- ビジネスマネジメント:人事戦略、組織のパフォーマンス管理
- タレントプランニングと採用:採用戦略、採用手続き
- 従業員と労使関係:労働法、社員の権利、ダイバーシティ&インクルージョン
- 報酬・福利厚生:給与体系、インセンティブプラン
- 人材開発:トレーニング、キャリア開発
SHRM-CP
SHRM(Society for Human Resource Management)は、グローバル基準での人事資格を提供しています。
認定資格のSHRM-CPは、人事担当者や人事業務に関わるプロフェッショナル向けの資格で、HRの基本的な業務知識と実践力を認定します。
- 行動コンピテンシー:リーダーシップ、倫理観、意思決定力
- HRの知識領域:採用、労務管理、報酬・福利厚生、組織開発
- グローバルHRの実践:異文化マネジメント、国際労務管理
求人の探し方
外資系企業へ応募するには、企業サイトの採用ページから直接エントリーする方法や転職エージェントなどの専門サービスを利用する方法があります。
外資系企業は日本企業に比べて入手できる情報が少ないので、エージェントサービスを上手に活用して、情報収集をすることをおすすめします。
またエージェントを利用することで、非公開求人の紹介や英文レジュメの添削、面接対策のサポートも受けられるようになります。
ロバート・ウォルターズ
ロバート・ウォルターズは、世界有数のグローバル企業をはじめ、ベンチャー企業や中小企業に至るまで、多彩な企業の求人を取り扱っています。
バイリンガルやスペシャリストをはじめとして、正社員・契約社員・派遣社員のキャリアアップを幅広くサポートしています。
マイケル・ペイジ
マイケル・ペイジは、世界大手の外資系・グローバル企業向け転職エージェントです。ミドル〜エグゼクティブ層のサポートに強みを持ち、専門性の高いコンサルティングを提供しています。
エンワールド・ジャパン
エンワールド・ジャパンは、外資系企業の転職を専門に長期的なキャリア構築のためのサポートを行っています。
ハイクラス向けのサービスで、より適した仕事に出会い、中長期的で見たときの活躍を考えて、最善の提案をしています。
エントリーの準備
外資系企業に転職するには、特有のノウハウが必要になります。
英文履歴書(レジュメ)
外資系企業の採用選考に応募するためには、一般的に英文履歴書(レジュメ)の作成が必要となります。
英文レジュメは、日本の履歴書とはフォーマットや役割が異なり、職務経歴書の内容に近いものになります。
外資系企業の募集では、ポジションや職種が明確になっているので、募集職種に合わせたレジュメを作成する必要があります。
- 決まったフォーマットや項目はない
- 性別や生年月日などの記載は不要
- 職歴は新しいものからの記載が一般的
- 有利な情報は積極的にアピール
- 職務内容や業績の詳細を記述
レジュメの主な項目
- コンタクト情報
名前、住所、電話番号、メールアドレスなど - 希望職種
希望する職種を具体的に記載 - 職歴
勤務先名、役職、勤務期間、所在地など - スキル
希望職種と関係する技能や特技は多少オーバーなくらい記載してOK - 学歴
学科名、学校名、所在地、期間など - サマリー
スキルの要約、資格・能力の要約、職歴・経験の要約など - 資格・免許
仕事に活かせる資格や免許を積極的に記載 - 社会活動
希望職種と関係のあることやリーダーシップをアピールできる経験など - 課外活動
アピールできる幅広い知識や経験など - 賞罰
希望職種に関係のあるものであれば記載
カバーレター
英文履歴書(レジュメ)には、カバーレターを添付します。カバーレターはわかりやすく自己PRするためのものです。特に決まったフォーマットや項目はありません。
- コンタクト情報
住所、電話番号、メールアドレス - 日付
連絡先の下に記載 - 提出先
役職、会社名、住所など - 呼びかけ
名前がわからない場合は、肩書など - 求人情報源と希望職種
求人情報、希望職種など - 動機、理由
応募先に貢献できる具体的な実績や資格をアピール - 面接(インタビュー)の依頼
都合のよい時期、時間帯など - 締め
自分の名前の署名 - 同封書類の案内
履歴書や他の書類
まとめ
外資系企業の転職市場は、グローバル化の進展とともに、今後も拡大すると見られます。
グローバル人事のキャリアを進むには、語学力やHRの専門知識を磨くことも必要ですが、異文化の理解や柔軟性、マネジメント力など、キャリアに応じたスキルを身につけていくことが重要です。
グローバルなキャリアを築きたい人の参考になれば幸いです。
人事コンサルタントについては、こちらの記事でご紹介します。

転職に必要となる英語力については、こちらの記事でご紹介します。

参照:経済産業省「外資系企業動向調査」、一般社団法人 人事資格認定機構