仕事をしている人なら誰でも、元気でやる気があるときばかりではなく、疲れや悩みを抱えながら過ごす日々もありますよね。
そんなとき、本が好きな人は何か元気の出る読みやすい小説を読んでリフレッシュすることがあるのではないでしょうか。
私は本好きで、小説だけでなく、いろいろなジャンルの本を読みます。ここでは元気が出るお仕事小説をご紹介したいと思います。
「お仕事小説」とは、働く人々の姿をリアルに描いた作品群のこと。登場人物が疲れた心にそっと寄り添い、共感や希望を届けてくれることがあります。
登場人物たちが仕事に向き合うなかで成長したり、壁を乗り越えていく姿は、読む人にとっても爽快ですよね。
おすすめのお仕事小説
ここでご紹介する8冊は、どの本も働く人々の姿をリアルに、そして生き生きと描いた作品です。
「仕事で悩んでいる」「新しい一歩を踏み出したい」「ただ、少し休息したい」——そんな人におすすめしたい、元気が出る小説です。
手紙屋
内容紹介
就職活動に出遅れ、将来に思い悩む平凡な大学4年生の僕は、ある日、書斎カフェで、『手紙屋』と書いてある奇妙な広告とめぐりあう。たった10通の手紙をやりとりすることであらゆる夢を叶えてくれるというのです。
大切なのはどんな船に乗るかではなく、航海の目的。主人公と一緒に働くことの意味を見つめ直すことができます。就職・転職活動中の人や元気に自分らしく生きたいという思いを抱いている人におすすめです。
ハケンアニメ
内容紹介
アニメ業界で働く人々の情熱と葛藤を描いた作品。新人監督の斎藤瞳は、自身が手掛けるアニメを「覇権アニメ」にするため、全力で作品作りに挑みます。クリエイティブ業界特有の厳しさ、プレッシャー、そして達成感がリアルに描かれています。
理想と現実の間で揺れる登場人物たちの姿がすべての働く人へのエールとなる熱血お仕事小説です。
オレたちバブル入行組
内容紹介
大手銀行にバブル期に入行して、今は大阪西支店融資課長の半沢。支店長命令で無理に融資の承認を取り付けた会社が倒産。支店長はすべての責任を押しつけようと暗躍します。四面楚歌の半沢には債権回収しかないが…。
生々しくスリリングな展開が読者を引き込みます。夢多かりし新人時代は去り、気がつけば辛い中間管理職。そんな世代へエールを送る痛快エンターテインメント小説です。
舟を編む
内容紹介
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まります。
ひとつひとつの言葉に向き合い、完成を目指す彼らの地道な努力と情熱が描かれます。言葉に込められた意味や重みを丁寧に掘り下げる姿は、どんな仕事にも通じる「プロフェッショナル魂」を感じさせます。淡々とした日常の中にも、笑いあり、涙あり、静かな感動があります。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作。
左遷社員池田リーダーになる
内容紹介
ドレッシング製造を手がけるフリージアは、アットホームな中堅企業。ところがカリスマ創業社長が急死すると社内は一変します。元銀行員の娘婿が新社長に就任し、元敏腕経営コンサルタントを右腕に起用。改革断行も虚しく、業績はジリ貧に。そんな会社の危機に、ある男が立ち上がります。
ストーリーを通して「会社とリーダーの成長」を体感できる痛快な仕事ドラマです。経営・リーダー論を深く楽しく学ぶことができるビジネス小説です。
君たちに明日はない
内容紹介
「私はもう用済みってことですか!?」リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、なぜかこの仕事にはやりがいを感じている。建材メーカーの課長代理、陽子の面接を担当した真介は、気の強い八つ年上の彼女に好意をおぼえるのだが…。
恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気が出る人間ドラマ。山本周五郎賞受賞作です。
校閲ガール
内容紹介
憧れのファッション誌の編集者を夢見て出版社に就職した河野悦子。しかし「名前がそれっぽい」という理由で(!?)、配属されたのは校閲部だった。校閲の仕事とは、原稿に誤りがないか確かめること。入社して2年目、苦手な文芸書の仕事に向かい合う日々。そして悦子が担当の原稿や周囲ではたびたび、ちょっとしたトラブルが巻き起こり…!?
ワクワクするお仕事小説で読んでスッキリ元気になれます。最強のワーキングガールズエンタメです。
チームバチスタの栄光
内容紹介
心臓移植の代替手術“バチスタ”手術専門の天才外科チームで原因不明の連続術中死が発生。不定愁訴外来の田口医師は、病院長に命じられて内部調査を始める。そこへ厚生労働省の変人役人・白鳥圭輔がやってきて……。
医療の現場で繰り広げられる人間ドラマとチーム医療の在り方が問われます。
医療現場のリアルな緊張感や仕事に対する責任感が強く描かれています。チームで仕事をする人におすすめです。
お仕事小説の楽しみ方
お仕事小説は単なる娯楽ではなく、自分自身の働き方や生き方を見つめ直すきっかけになることがありますよね。
共感する登場人物に出会うことで、自分だけじゃないと思えて、孤独感が薄れることがあるかもしれません。また他の職業や立場の人々の視点を知ることで、新しい気づきが生まれることもあるでしょう。
ストーリーのなかの成長や達成感を、自分自身にも重ね合わせたり、逆に自分の仕事では経験できない感覚を味わえることも楽しみの一つです。
おわりに
働くことは、日々繰り返され、惰性だったり、ときに辛く、苦しいこともあります。ですが、そんななかにも喜びや達成感があって、そして確かな成長へとつながっているはずです。
元気が出るお仕事小説は、そんな毎日で一息ついてリフレッシュしたり、新しい視点や希望を与えてくれるのではないでしょうか。
忙しい日々のなかでも、ふと立ち止まって、本を選んだり、ストーリーに没頭できる時間を大切にできるといいなと思います。その一冊が、働く人の心を少しだけ軽くしたり、新しい一歩を踏み出す力をくれるかもしれません。
よく知っている仕事あるいは全く接点のない知らない仕事であっても、そこで精一杯働き、成長していく登場人物の姿は、自分もまた明日からがんばろうと思わせてくれます。ご紹介した小説がどなたかの元気になれば幸いです。


参照:各出版社ウェブサイト