相談やカウンセリング業務に役立つ「メンタルケア心理士®」という資格を知っていますか?
ストレスの多い現代社会では、メンタルヘルス不調を抱える人も多く、メンタルケアの重要性はこれまで以上に高まっています。
メンタルケア心理士は、「専門家になりたい人」だけでなく、「人に寄り添える力を高めたい」というすべての人に開かれた資格です。
ここでは、人と関わる仕事にプラスできる資格として、メンタルケア心理士をご紹介します。
メンタルケア心理士®とは?
メンタルケア心理士はメンタルケア学術学会が認定する公的資格です。
基礎心理学に加え、臨床心理学まで学び、実際に人への関わりや援助ができる知識と技能を習得します。
心理系の資格では「臨床心理士」や「公認心理師」などが代表的ですが、資格を取得するには大学や大学院での学びが必要になります。
心理系の資格は社会人が目指すにはハードルが高いのですが、「メンタルケア心理士®」は働きながら初心者でも心理学への理解を深めることができます。
メンタルケア心理士®を取得するメリット
メンタルケア心理士の資格は、カウンセラーを目指す人だけでなく、一般企業でもメンタルヘルスに携わる業務、またセルフケアに活かせる知識とスキルを習得できます。
メリット①
✓心理学の基礎知識が身につく
メンタルケア心理士の学習では、心理学の理論、発達心理、ストレスや不安への対応法など、幅広い知識を習得できます。
専門書だけでは難しい心理学の概念も、わかりやすく学べるカリキュラムが組まれていて、初学者でも理解しやすいのが特長です。
メリット②
✓人間関係や職場での対応に活かせる
習得した知識は、職場など身近な場面で活かすことができます。職場のメンタル不調や休職者の対応、クライアントとの信頼構築など、「人と関わる仕事」すべてに通じるスキルが身につきます。
メリット③
✓自己理解が深まる
心理学を学ぶことで、自分の感情や思考のパターンにも気づくことができ、自己理解が深まります。
これはストレスマネジメントやセルフケアにもつながり、自身のメンタルヘルス維持にも大きなメリットです。
メンタルケア心理士®はこんな人におすすめ
幅広い業界・職種で、「身近な人を支えたい」「もっと人に寄り添った仕事がしたい」という人におすすめできる資格です。
項目 | チェック |
---|---|
人の相談に乗ることが多い立場の人 | □ |
人事や管理職など、社員を支える立場にいる人 | □ |
将来的にカウンセリングや心理支援の分野に進みたい人 | □ |
心理学に興味があるけれど、何から学んでいいかわからない人 | □ |
キャリアコンサルタントや社労士など、人に関わる専門職の人 | □ |
メンタルケア心理士®の資格を取るには?
メンタルケア心理士は、文部科学省後援の「こころ検定」2級に合格することが資格認定の申請条件となっています。
次のいずれかの条件とこころ検定2級に合格すれば、認定を申請することができます。
- メンタルケア学術学会指定教育機関においてメンタルケア心理士教育課程(講座受講)を修了した人
- 認定心理士の資格保有者、産業カウンセラーの資格保有者等
「こころ検定」2級
こころ検定は心理学に基づいた体系的な知識・技能を有するかを検定する試験です。
日本学術会議協力学術研究団体メンタルケア学術学会が主催し、文部科学省の後援事業となっています。
基礎心理学を中心にこころのメカニズムを知識として理解し、よりよいこころの環境を作り出せる人を育てることを目的としています。
「こころ検定2級」を「メンタルケア心理士」相当としています。
受検資格
制限なし
試験日
年5回の検定受検期間に実施されます。 ※受検申込期間以外の申込みはできません。
試験方法
CBT方式※全国の試験会場(テストセンター)でコンピュータを使用して行われます。
試験内容
- 精神解剖生理学
- 精神医科学
- 心理カウンセリング基本技法
合格基準
正答率70%以上
メンタルケア心理士®講座の修了と検定の合格で、メンタルケア心理士の資格を取得することができます。講座は学会の教育指定校でのみ実施されています。
メンタルケア心理士®の活かし方
ストレスや精神的な負担を抱える人が増え、メンタルケアの重要性がますます高まっています。
メンタルケア心理士の知識とスキルはさまざまな場で活かすことができます。
キャリアでの活かし方
医療・福祉・教育・産業・公共サービスなど幅広い分野で知識とスキルを活かすことができます。
- 医療分野:病院やクリニックなど
- 福祉分野:老人福祉施設、自立支援センターなど
- 教育分野:スクールカウンセラー、教育相談員など
- 産業分野:人事労務部門、産業保健スタッフなど
- 公共サービス分野:地域相談所、ボランティアなど
他の心理系資格との比較
資格名 | 資格の種類 | 特徴 |
---|---|---|
メンタルケア心理士® | 民間 | 初心者向け。講座の修了で取得。基礎から学べる |
公認心理師 | 国家 | 心理支援の国家資格。大学・大学院での学習が必要 |
臨床心理士 | 民間 | 心理臨床の専門資格。大学院修了が原則 |
メンタルヘルスマネジメント®検定 | 民間 | 主に企業でのストレス管理知識を問う検定 |
資格取得のメリットと注意点
適切なサポートをするために資格取得後も、経験を積みながら学習を続けて、より実用的なスキルとして活かしていくことが重要です。
- 専門的な知識やスキルを習得できる
- 信頼性が高まる
- キャリアの幅を広げることができる
- 実践的な経験も重要(資格取得後も継続的な学習が必要)
- 自分の知識を過信しすぎない(正しい理論に基づく対応が重要)
メンタルケア心理士®を学ぶなら
教育指定校の講座を受講すると、検定の試験対策とメンタルケア心理士の資格認定の条件を満たすことができます。
メンタルケア心理士®講座
講座では、心理学の専門家が所属する「メンタルケア学術学会」監修の教材を使って、臨床心理学に医学や薬学を取り入れた学びができます。
資格の取得期間
4ヵ月から半年程度の学習期間が必要となります。基礎知識などがなく、はじめて心理学を学ぶ人であれば8ヵ月程度の学習期間があると安心でしょう。
こころ検定の教材
テキストのみの販売は行っていませんので、こころ検定2級対応のメンタルケア心理士講座で学ぶことになります。 講座では心理学はもちろん身体構造を学ぶために一般的医学も学びます。
まとめ|人と関わる仕事で活かせるメンタルケア心理士®
企業では仕事内容や職場環境、人間関係などのストレスから、メンタルヘルスに不安を抱える社員が増えています。
社員のメンタルヘルス不調は、企業の経営に与える影響が大きく、社会的にもメンタルヘルス対策への取り組みの重要性が高まっています。
私も人事担当者としてメンタル不調による休職者のフォロー、復職に向けての試し出社、休職満了後の対応などの経験があります。
基本的には職場や産業保健部門で担当しますが、たとえ手続きの対応だけであったとしても、専門的な知識や技術があればと感じることが多々ありました。
業務でメンタルヘルスに関わるのは、医療職や医療現場だけではなくなっています。
今は経験していなくても、知識がないまま対応して心配になったり、もっとこうすればよかったと後悔することがあるかもしれません。
人と関わるすべて人にとって、メンタルケアの学びは活かせるでしょう。よりよいキャリアの参考になれば幸いです。
参照:厚生労働省、メンタルケア学術学会、こころ検定公式サイト
試験情報は変更される場合がありますので、最新情報は試験実施機関の公式サイトをご確認ください。