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給与担当に向いている人とは?業務内容・適性・資格

給与計算業務のイメージ 人事部ナビ

給与計算や給与管理の仕事は、企業運営に欠かせない重要な役割を担っています。従業員の給与を正確に計算し、社会保険や税金の控除を適切に行うことで、企業の信頼を維持することが求められます。

私の勤務先では、人事担当と給与担当は分かれていました。人事担当としては、給与締め日に速やかに勤務データを確定させ、給与担当が計算作業に入れるようにすることでした。

簡単なことのように思われるかもしれませんが、勤務承認をする上司が出張中だったり、スムーズに進まないことも少なくありません。しかも、社員の給与に反映されるわけですから、毎月の締め日はトラブルやミスがないか緊張感をもって過ごしていました。

給与の業務には計算はもちろん、関連する業務にも高い正確性が求められます。ここでは、給与の業務内容、求められるスキルや適性、資格についてご紹介します。

給与の仕事

給与とは、賃金、給料、手当、賞与、その他どのような名称であっても、労働の対価として事業主から従業員に支払うすべてのもののことです。

  1. 事業主が従業員に支払ったものであること
  2. 労働の対価として支払われたものであること

給与の仕事とは?

企業の規模によって、給与担当の業務範囲は変わってきますが、給与関連としては、主に次のような業務を行っています。

給与計算

給与計算は、従業員の労働時間や勤務形態に応じて、基本給・残業代・各種手当を正しく算出する業務です。残業手当や深夜手当は労働基準法の規定に基づいて正しく計算し、支給する必要があります。また、遅刻や欠勤による控除、有給休暇の適用などもあります。

給与計算のミスは従業員の給与に直結するため、正確性が最も重視されます。多くの企業では、給与計算システムを導入して、業務を効率化しています。

給与控除の処理

給与から控除される社会保険料や税金の計算・納付を行います。社会保険料は、標準報酬月額に基づいて算出され、定時決定(算定基礎届)や随時改定(給与変動時)に対応する必要があります。

所得税は「源泉徴収」として、住民税は原則として「特別徴収」方式で、給与から控除して、納付されます。

給与明細の発行・振込

給与計算が完了した後、従業員に支給額や控除額の詳細を示した給与明細を発行します。明細には、基本給、各種手当、控除内容、差引支給額が記載されます。

紙の明細書ではなく、Web明細を導入する企業が増えています。給与の振込業務では、各金融機関の振込データを作成し、指定された支払日に確実に処理を行います。給与の遅延は従業員の信頼を損なうため、慎重な管理が求められます。

年末調整

年末調整は、年間の所得税額を正しく精算するための手続きで、毎年11月~12月に実施されます。扶養控除、配偶者控除、生命保険料控除などから、従業員が支払いすぎた税金を還付、または不足分を徴収します。

適用される控除は従業員によって違うので、申告書の確認やデータ入力の正確性が求められます。

労務関連の対応

給与の支払いが適切に行われているかを確認し、社内の労務管理をサポートします。残業時間の適正管理や、育児・介護休業の手続き、退職時の給与精算など、法令に基づいた対応が必要になります。

また、従業員からの問い合わせに対応したり、社内研修や説明会を実施することもあります。

給与の仕事に必要なスキル・適性

給与担当として、社内のルールを熟知して、高い正確性があり、絶対間違わない(と思われいる)給与のスペシャリストがいました。私にはまねできないことで、給与の仕事で活躍できるかどうかには適性が大きく影響すると思います。

正確性が求められる給与の仕事をするには、次のようなスキルが役立ちます。

数字に苦手意識がないこと

給与計算では数字を扱うため、数字の処理能力と注意力が求められます。数字に強いに越したことはありませんが、少なくても苦手な人にはあまり向かないと思われます。

PCスキル

給与計算ソフトやExcelを使えることが重要です。多くの企業の給与計算はシステム化されていますが、システムのアップデートによる不具合や、誤った設定による計算ミスが発生する可能性もあります。

システムの操作だけでなく、給与の基本知識を持ち、計算能力があると評価されます。

法律・規則の理解

労働基準法や社会保険制度、税制に関する基本的な知識とともに社内の勤務制度を深く理解していることで、業務の正確性がアップします。

コミュニケーション能力

従業員からの給与に関する問い合わせや、社内の人事・経理担当者とのやり取りが多いため、的確にわかりやすく説明できる能力が評価されます

秘密保持能力

給与データは機密情報のため、情報漏洩を防ぐための慎重な取り扱いが求められます。

給与の仕事に役立つ資格

給与の仕事に資格は必要ありませんが、取得するとスキルの証となり、転職やキャリアアップに有利になります。

給与計算実務能力検定

給与計算に関する知識と実践的な能力を判定する検定試験です。給与計算の実務能力を証明することができます。

社会保険労務士

社会保険や労務管理の専門家の国家資格です。給与関連だけでなく、人事・労務分野でのキャリアアップも可能になります。

日商簿記検定

給与業務には会計知識も役立つため、日商簿記3級以上を取得すると、より幅広い業務に対応できます。

FP(ファイナンシャルプランナー)

給与に関する税金や社会保険制度を学ぶことに役立ち、2級以上を取得すると、キャリアの可能性がさらに広がります。

未経験から給与担当になるには?

未経験から給与関連の仕事をするには、次のようなステップが考えられます。

企業の求人募集に応募する

企業サイトの採用ページや転職サイトから未経験でも応募できる給与の仕事を探します。未経験者歓迎の求人であっても、経験者より優遇されるわけではありませんので、資格を取得するなどスキルアップは重要です。

資格を取得する

給与計算実務能力検定や簿記、社労士などの資格を取得すると、未経験でも企業からの評価が高まります。

派遣や契約社員から始める

給与計算の求人は派遣社員や契約社員で募集されることも多いので、実務経験を積みながら、ステップアップしていくという方法があります。

経理・総務を経験

企業の規模によっては、経理や総務の業務に給与計算が含まれることもありますので、関連する職種で経験を積んでから、給与担当を目指す道もあります。

給与の仕事のやりがい

給与は、従業員の生活を支えるものです。給与が正しく支払われるかどうかは、従業員のモチベーションや会社への信頼に大きな影響を及ぼします。

専門性が高く、キャリアの強みになる

給与業務は、事務作業ではなく、専門知識を必要とする仕事です。実務経験で身につけた知識や実践能力は転職やキャリアアップに役立ちます。

正確な業務を遂行する達成感

給与業務は、細かい数字を扱う繊細な仕事ですが、ミスなく計算を終え、問題なく給与が支払われたときに達成感を得られます。

繁忙期の年末調整や賞与計算を無事に乗り切った際には、充実感を感じることができるでしょう。

従業員との信頼関係の構築

給与に関する問い合わせに的確に対応して、従業員の不安を解消することで、「給与担当に相談して納得した」と信頼を得られることがあります。同様に人事・経理担当からも信頼されます。

給与担当のキャリア

給与担当として仕事をするうえで、次のようなキャリアパスが考えられます。

給与担当者として専門性を高める

給与計算の業務を極め、スペシャリストとしてキャリアを築く道があります。企業の規模によっては、は給与計算を専門に担当するポジションもあります。

人事・労務分野に幅を広げる

給与計算だけでなく、労務管理や社会保険、人事制度などの業務を担当することで、より広い分野で活躍できるようになります。

社会保険労務士として独立

社労士の資格を取得すれば、給与計算だけでなく企業の労務管理をサポートしたり、労務コンサルティングを行うことができます。

経理部門への転向

給与計算の経験を活かして、経理や財務の仕事へキャリアチェンジすることも可能です。

給与業務の今後の展望

デジタル化やAIの導入で、給与業務の環境は変化しつつあります。雇用形態や働き方も多様化していますので、給与計算の方法や管理体制も変わっていくことが予想されます。

新しいシステムの普及

従来の給与計算ソフトは、企業のパソコンにインストールするタイプが主流でしたが、クラウド型のシステムが急速に普及しています。

クラウド型を利用することで、リモートワークでも給与計算ができ、複数の担当者がリアルタイムでデータを管理できるようになります。

給与形態の変化

在宅勤務やフリーランス契約をする人が増えています。そのため、給与計算も多様な給与形態に対応する必要が出てきています。

給与戦略の最適化

給与データを分析することで、企業戦略を最適化する動きも増えています。「業界平均と比べて給与水準が適正か」「残業時間が多すぎないか」などをデータから判断し、採用戦略につなげるなどの取り組みが行われています。

まとめ

給与業務は、企業にとって欠かせないものであり、従業員の生活を支える責任の重い仕事です。正確性や専門知識が求められる一方で、キャリアの強みとなるメリットがあります。

未経験から給与業務を通じて、スペシャリストを目指したり、より広い分野でのキャリアアップの可能性も広がります。給与の仕事に興味がある人の参考になれば幸いです。

一般企業に勤める社労士については、こちらの記事でご紹介します。

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この記事では、社会保険労務士について、どのような資格なのかわかりやすくご説明します。

参照:総務省「日本標準職業分類」、ハローワークインターネットサービス、一般社団法人 実務能力開発支援協会