社会保険労務士試験は年に1回実施されます。年に1回しか合格するチャンスがありませんので、一発合格を目指すには計画的に学習を進める必要があります。
私は人事部勤務で転職を考え始めたときに、社労士の資格を目指すことにしました。社労士は8月が本試験ですので、年明けから準備をして、資格勉強をスタートしてから1年半、1回の受験で合格することができました。
社労士試験は合格率の低い試験ですが、一発合格を目指すのであればがむしゃらに勉強するより、計画的に学習を進める方が効率的です。
ここでは、社労士試験に一発合格するための学習計画の立て方についてご紹介します。
社労士試験に一発合格する計画を立てよう
社労士試験は、合格率が約6~7%と低く、難易度の高い試験とされています。一発合格するためには、戦略的な学習計画を立て、効率的に勉強を進めることが不可欠です。
まず、どのような試験であるかを理解して、目標を設定しましょう。
- 試験の概要を把握する
- 目標を決めて学習計画を立てる
試験の概要を把握する
学習計画を立てる前に、まず試験の概要を把握しましょう。
社労士試験は8科目10分野から出題され、午前に選択式(80分)、午後に択一式(210分)が行われます。
試験科目 | 選択式 | 択一式 |
---|---|---|
労働基準法及び労働安全衛生法 | 1問/5点 | 10問/10点 |
労働者災害補償保険法 (徴収法を含む) | 1問/5点 | 10問/10点 |
雇用保険法 (徴収法を含む) | 1問/5点 | 10問/10点 |
労務管理その他の労働に関する一般常識 社会保険に関する一般常識 | 1問/5点 1問/5点 | 10問/10点 |
健康保険法 | 1問/5点 | 10問/10点 |
厚生年金保険法 | 1問/5点 | 10問/10点 |
国民年金法 | 1問/5点 | 10問/10点 |
合計 | 8問/40点 | 70問/70点 |
学習の計画を立てる
社労士試験の勉強時間は資格スクールなどでは、800~1000時間程度とされています。
1日に勉強時間をどれだけ確保できるかにもよりますが、働きながら勉強するのであれば本試験の前年1年~1年半の計画を立てるのが現実的でしょう。
- 最初の半年間
→インプット中心に知識を習得 - 本試験1年前
→アウトプット重視にシフト - 本試験半年前
→過去問題集の正解率を上げる - 本試験直前期
→実践力を磨く・総まとめ
私が1年半で合格したスケジュールをもとに、一発合格の学習計画をご紹介します。
学習開始|基礎固めの時期(2月~7月)
本試験が8月ですので、前年の年明けくらいから学習をスタートすると、無理なく進められます。
私は年明けに社労士を目指すことを決めて、6ヵ月程度の講座を受講することにしましたので、2月から7月くらいまでがインプット中心の時期になります。
この時期は、授業で学んだ範囲のテキストを復習して、その範囲の過去問題集を解きました。テキストと過去問題集は市販のもの(別の記事でご紹介しますね)を使いました。
- テキストで学んだ範囲の過去問題集を解く
- インプット中心に基礎を固める
特に予習はせず、過去問題集も自信をもって正解できるレベルではありませんが気にしませんでした。
本試験1年前|演習と弱点補強の時期(8月~)
本試験は8月ですので、本番の1年前からは、本格的な緊張感をもって勉強に臨みます。
インプット中心の学習から過去問題の演習でアウトプットを強化する時期になります。
正解率まで意識して問題を解くようにします。
- 過去問題集を中心にアウトプットを強化する
- 間違えた問題は理解できるまでテキストを熟読する
- 根拠を説明できるレベルまで理解を深める
正解できても理由まで説明できるレベルになっていない問題は、テキストに戻って確認し、自信をもって正解できるレベルまで理解を深めるようにしました。
自信をもって正解できる問題が8割を超えてくると合格レベルに近づいているはずです。
科目の得意不得意が出てくるかもしれませんが、個人的には無理に不得意科目を得意科目にしようとはしませんでした。
よく出題される項目とあまり出題されない項目がありますので、よく出題されるのに解けないという問題を無くすことが重要だと考えました。
正解率の低い問題は理解できるまで、過去問題集⇒基本テキスト⇒過去問題集⇒基本テキストを繰り返します。
本試験半年前|仕上げの時期(2月~4月)
私は本試験前までに過去問題集は10回以上繰り返すことを目標にしていました。
10回以上繰り返して8割以上正解できるようになるまで、粘り強く繰り返すことで合格が近づいたのだと思います。
この時期に過去問題集が解けないと焦るかもしれませんが、インプットとアウトプットが不十分なまま仕上げに移っても成果は出ませんので、完成度を上げることに集中します。
- 過去問題集は最低でも3回以上は繰り返す
- 正解率を上げる
- 間違える問題のみピックアップしてつぶす
ある程度、問題が解けるようになってからは、記憶の定着のために副教材を使用するのもありだと思います。
本試験3ヵ月前|直前期(5月~8月)
ゴールデンウィーク明けからは徐々に本試験に向けての勉強にシフトしていきます。
直前期には模擬試験を受けるなど、本番のスタイルで時間配分まで考慮して問題を解くようにします。
- 本試験を意識した演習をする
- 模試を受ける
- 模試の復習は再受験スタイルでもする
私は試験会場での模試は2回受けました。模試の問題は100%理解できるように復習することが望ましいと思います。
実際には100%の理解はきっと難しいですし、私もできてはいませんが、それくらいの意識で。
効率的に学習を進める
社労士試験は出題範囲が広いので、効率的に学習を進めることが重要です。
学習法①
✓過去問題集を中心に勉強する
社労士試験では過去問演習が最も重要です。
テキストを読むだけでなく、実際の試験形式に慣れるために過去問を繰り返し解くことが合格への近道です。
学習法②
✓アウトプットを重視する
インプット(テキストを読む)だけではなく、アウトプット(問題演習やノートまとめ)を意識的に行うことで、記憶の定着率が上がります。
学習法③
✓スキマ時間を活用する
社会人の一発合格には、スキマ時間をいかに有効活用できるかが大きく影響します。
労働関係の法律や社会保険制度の条文は暗記も必要になります。通勤時間や寝る前の10分間を活用して、こまめに暗記すると負担を減らせます。
得意科目と不得意科目
好きな科目が得意科目になるとは限りません。確実に得点源にできる科目があると有利です。
個人的には科目の得意不得意が出てきてもあまり無理はしませんでした。すべての科目を同じレベルにするのは非効率ですので、重要度の高い科目を優先して学習することをおすすめします。
結果的に私にとって得意科目になったのは厚生年金法でした。厚生年金法は好きな科目ではなかったのですが、点数をかせぐことができる科目になりました。
きちんと覚えることを覚えれば正解できる問題が多かったからだと思います。
私は日常業務でも接する機会が多い労働基準法は好きな科目だったのですが、最終的に思ったほど点数を伸ばすことはできませんでした。
わかっているつもりでも法の解釈や判例などからの応用問題は難しく、得点につなげられなかったからだと思います。
不得意科目ができてしまうこともあると思います。不得意科目は網羅的に勉強するよりも頻出分野に集中して攻略することをおすすめします。
社労士試験に一発合格できる学習スタイルとは?
社労士試験に合格するには、独学や通信・オンライン講座、通学・資格スクールなどで学ぶ方法があります。
1回の受験、最短で合格するためには、自分に合った学習スタイルを選んで合格まで継続することが重要です。
自分に合った勉強法を選ぶ
どれかひとつに決めなくても、自分の状況や学習のレベル・進捗に合わせて、選んだり組み合わせたりするのがいいと思います。
①テキストと過去問題集
一発合格するためには、いろいろな教材に手を出すのはNGです。市販のものでも講座で使用したものでもかまいませんので、信じた教材を繰り返しましょう。
もちろん、わかりにくかったり、使いにくいなど自分とは合わないと感じた場合は、はやめに別の教材を探すことも必要です。
②通信・オンライン講座
スマホで学べる講座が増えましたので、働きながらでも移動時間やスキマ時間を活用して勉強時間を確保しやすくなりました。
時間や場所に制限がなく、柔軟に学習を進めることができます。反復学習にも対応できます。
③通学・資格スクール
通学で学ぶ最大のメリットは、講師の授業を受けて直接質問ができるところです。わからないところは確認して納得してから進めたいという人におすすめです。
自習室が使えるスクールもありますので、家では集中できない人にとってもメリットがあります。
一発合格への道
働きながら社労士試験に一発合格するのは、簡単なことではありません。
私は集中して短期間で終わらせたかったこと、後半きつくなり、2回目の受験をするまでモチベーションが続くと思えなくなってきたこともあり、何が何でも一発合格するぞという思いで乗り切りました。
本試験が終わってから発表がある11月までは、あまり勉強をする気力が残っていなかったので、落ちていたらどうしようか、もう資格勉強はやめようかと本気で考えたりしていました。
あきらめるのはもったいないとわかってはいましたが、これ以上気力体力がもたないと。ですので、合格できたときは本当にうれしかったですし、ほっとしました。
合格した達成感とほっとした脱力感で、合格後も転職活動はせずにそのまま同じ仕事を続けました。
周囲の評価がアップしたり、業務に自信を持って取り組めるようになったことで、最終的に転職は見送ることにしました。
資格を目指したときの目的とは違ってしまいましたが、社労士に合格したことは自分のキャリアにとってプラスになったと思っています。
まとめ|社労士の一発合格は計画的に目指そう!
いかがでしょうか。一発合格までの学習計画がイメージできたでしょうか。
それぞれに社労士になりたい理由や置かれた状況は違いますが、これから一発合格を目指す人は自分に合った学習計画を立てて、短期集中で進めてほしいと思います。
かけられる時間や費用によっても学習計画は変わってきますが、1年~1年半かけて合格を目指す計画は現実的なものです。
社労士の一発合格を目指す人の参考になれば幸いです。
社労士試験の合否については、「社労士試験で不合格になる人の共通点とは?NGパターン」の記事でご紹介します。