ビジネスサイトでは、それぞれの事業によって必ず掲載するコンテンツがあるでしょう。例えば、社労士事務所のWebサイトでは、「トップページ」、「事務所概要」、「サービス案内」、「お問い合わせフォーム」は必須コンテンツといえます。
Webサイトを運用する目的にもよりますが、ビジネスで積極的に営業ツールとして活用していくのであれば、さらにブログ記事が重要になってきます。
ここでは、WordPressを使ってブログ記事を作成・運用する方法について、社労士事務所を例にしてご説明します。
ブログ記事の作成と運用
WordPressはCMS(ウェブサイトのコンテンツ管理システム)のなかでも、圧倒的なシェアを誇ります。
士業にとっては、事務所のウェブサイトを構築するためだけでなく、日々の運用でのメリットが大きく、私もWordPressを使って、社労士事務所のウェブサイトを作成・運用しました。
WordPressには、次のような特徴があります。
- 簡単に更新できる
コードの知識がなくてもページの追加・修正が可能です。 - 豊富なデザインテーマ
プロフェッショナルなデザインを簡単に適用できます。 - プラグインによる拡張性
問い合わせフォームやSEO対策など、さまざまな機能を追加可能です。 - コストパフォーマンスが高い
自社で管理すれば、外注するよりコストを抑えられます。
WordPressを設定する
WordPressを使って、ブログ記事を作成するには、WordPressのセットアップが終わっていることが前提になります。
WordPressの事前準備が終わってから、ブログ記事の作成に進むようにしてください。
WordPressの事前準備
- ドメインの取得
- レンタルサーバーの契約
- WordPressのインストール
WordPressの事前準備については、こちらの記事で詳しくご紹介します。

また、WordPressを初めて操作する人は、入門書などを確認しながら社労士用に、この記事の内容にカスタマイズするとスムーズに進められると思います。
WordPress入門書については、こちらの記事で詳しくご紹介します。

なぜ社労士事務所にブログが必要なのか?
ブログは営業ツールとして上手に活用できれば、事務所の運営に大きく貢献できます。
専門性のアピール
社労士は労務管理や社会保険の専門家ですが、企業向けのサービスであり、知名度もあまり高くないので、どのようなメリットがあるのか必要な人に届いていない可能性が高いといえます。
ブログ記事を通じて、 「社労士のサポートで、どんなメリットがあるのか」 という情報を発信することで、潜在的な顧客にアピールできます。
SEO対策による集客
Googleなどの検索エンジンで「労務相談 〇〇市」「就業規則 社労士 ○○区」といったキーワードで検索したときに、社労士事務所のウェブサイトが上位表示されることで、新規の相談やお問い合わせにつながりやすくなります。
良質のブログ記事を増やしていくことで、検索エンジンの評価が上がり、 集客力の向上が期待できます。
顧客との信頼関係の構築
例えば、最新の法改正情報や手続きのポイントをブログ記事でわかりやすく解説することで、事務所サイトを訪問した人に有益な情報を提供できます。
役立つ情報の提供を続けることによって、 「この事務所なら信頼できる」 という印象を持ってもらいやすくなります。
効果的なブログ記事の書き方
ブログ記事は、社労士が提供するサービスのメリットを伝えるものですから、既存の顧客や潜在的な顧客にとって有益で、わかりやすい内容を発信することが重要です。
ターゲット読者を明確にする
社労士事務所のブログを訪れる人は、 企業経営者、人事担当者などが中心です。ターゲット層のニーズに合ったテーマを選びましょう。
記事の構成を考える
ブログ記事は、次のような構成がわかりやすいとされています。
- タイトル(読者の関心を引くもの)
例:「20○○年の社会保険改正ポイントと実務対応」 - 導入(問題提起と記事の概要)
例:「社会保険の改正は毎年のように行われています。本記事では20○○年の改正点を解説し、企業がどのように対応すべきかをお伝えします。」 - 本文(具体的な解説や実務のポイント)
・法律改正の具体的な内容
・社労士ができるサポート
・企業が取るべき対応策 - まとめ(読者に行動を促す)
例:「企業にどのような影響があるのか詳細は、当事務所までご相談ください。」
具体的なテーマ例
次のようなテーマの記事を書くことで、クライアントに役立つ情報を提供できます。
- 法改正関連
「20○○年の育児・介護休業法改正のポイント」 - 労務管理
「ハラスメント対策措置を企業が講じるべき理由」 - 実務ノウハウ
「助成金申請でよくあるミスと対策」
ブログ記事を作成する
WordPressには「投稿」と「固定ページ」という2種類のページタイプがあります。
投稿は、ブログ記事などを作成する機能で、時系列で整理されます。頻繁に更新される情報発信などのページ作成に向いています。
固定ページは、時系列に左右されないコンテンツを作成するための機能です。事務所概要やお問い合わせページなど、あまり更新されない内容に向いています。
ブログ記事は「投稿」で作成していきます。
「投稿」の特徴
「投稿」は「カテゴリー」や「タグ」に分類したり、アーカイブページを持つことができます。
カテゴリー
「カテゴリー」は投稿を分類できる機能です。
WordPressの管理画面にログインして、左側のメニュー「投稿」→「カテゴリー」から追加できます。
カテゴリーはいつでも追加できますが、ブログを始めるときに、大まかな分類は考えてからスタートした方がよいでしょう。
社労士であれば、提供するサービスや情報発信するテーマなどのカテゴリーを作るとわかりやすいと思います。
タグ
「タグ」はカテゴリーよりもさらに細かく、キーワードで投稿を分類することができます。
例えば、「労務管理」のカテゴリーに「残業」のタグ付けをするなどのように使えます。
管理画面のメニュー「投稿」→「タグ」から追加できます。
ブログ記事を投稿する

WordPressの投稿は、「タイトル」「本文」「カテゴリー」「アイキャッチ画像」が基本スタイルです。
実際にブログ記事を作成して、公開してみましょう。
タイトルを入力する
管理画面のメニュー「投稿」→「新規追加」でページを開き、「タイトルを追加」の部分をクリックして入力します。
本文を入力する
タイトルを入力したら、下に「段落」でブログ記事を入力していきます。
ブログの効果を最大化するためには、 コンテンツの質・読者の興味を引く工夫 などが重要です。
カテゴリーを選ぶ
記事の内容に合ったカテゴリーに分類します。画面右のサイドバー「投稿」タブ→「カテゴリ」から選択できます。
タグ付けする場合も画面右の「投稿」タブから行います。「投稿」→「タグ」で「新規タグを追加」します。
アイキャッチ画像を設定する
「アイキャッチ画像」を設定すると、投稿記事の上に画像が表示されます。記事の内容に合った画像を設定することで、読者に興味を持ってもらいやすくなります。
画面右の「投稿」タブ→「アイキャッチ画像」→「アイキャッチ画像を設定」をクリックして、「ファイルを選択」します。
ブログ記事を公開する
画面右上の「公開」ボタンをクリックすると、記事が公開されます。
「表示(プレビュー)」機能で、公開前に実際の表示を確認することができます。公開しない場合は、「下書き保存」をクリックします。
定期的に更新する
ブログは 「定期的な更新」 が重要です。更新頻度があまりに低いブログだと、読者に「情報が古い」と思われたり、Googleの検索結果で評価されにくくなる可能性があります。
更新頻度の目安
- 最低でも 月1〜2回 の更新を目標にする
- 余裕があれば 週1回の更新を意識する
- 労働関連の法改正やニュースが発表されたら早めに記事を投稿する
忙しくて更新が難しい場合は、 事前に記事を作成して、WordPressの予約投稿機能を使って公開することもできます。
画像や図表を活用する
社労士関連のブログ記事は、法律や手続きに関する専門的な内容が多いため、 読者が理解しやすいように視覚的な要素を取り入れると読みやすくなります。
視覚的な要素の例
- イメージ画像
アイキャッチ画像や記事内のイラスト - グラフや図表
法改正や手続きを比較・対比する表 - チェックリスト
適切な労務管理や社内規定の見直し項目
画像素材サービスについては、こちらの記事でご紹介します。

内部リンクを活用する
内部リンクとは、ブログ内の他の記事へリンクを貼ることです。
これにより、 読者の回遊率が上がり、サイト滞在時間が延びるので、SEO(検索エンジン対策)にも効果があるとされています。
内部リンクの活用方法
- ブログ記事の中で 関連する他の記事を紹介する
- 「関連記事」や「おすすめ記事」 の欄を作る
- 過去の記事を リライト(加筆修正)し、新しい記事へリンクを追加する
SNSでシェアする
ブログを書いたら、SNSでも周知することで、より多くの読者に情報を届けることができます。記事を共有し、 読者層を広げていくこともサイト運営の取り組みの一つです。
SNS活用のポイント
- 記事を投稿したらSNSでシェアする
- 適切なハッシュタグを活用する(#社労士 #法改正 #労務管理 など)
- 簡潔な紹介文を添える
- ターゲット層に合ったSNSを選ぶ
SNSだけでなく、メルマガを活用してブログ記事を配信するのも効果的です。
問合せやコメントを活用する
ブログは情報発信だけでなく、 コメント欄を開放したり、お問い合わせフォームを設置したりすることで、 潜在的顧客との接点を増やせます。
読者とのコミュニケーション方法
- コメント欄を設置し、質問に回答する
- 記事の最後に「ご相談はお気軽に」と促す
- FAQ記事を作成し、「よくある質問」にまとめて回答する
「労務相談が増えているテーマ」を記事にすれば、同じ課題を抱える読者から問い合わせがくる可能性が高まります。
読者の関心が高い質問をピックアップして、新しいブログ記事を作成するのも効果的です。
記事のリライトと分析をする
ブログは 「書いたら終わり」ではなく、定期的に見直しと改善を行うことが必要です。
記事を改善するポイント
- 古くなった情報を更新
- 検索順位が低い記事をリライト
- アクセス解析を行い、どの記事が人気か把握
「Google Analytics」と「Google Search Console」を設定することで、どの記事がよく読まれているのかをチェックできます。
公開した記事が検索結果の2ページ目に表示されている場合、 タイトルや見出しを改善したり、新しい情報を追加したりすると、検索順位が上がり、1ページ目に表示されるようになる可能性があります。
まとめ
ブログを上手に運用することができれば、事業の運営に大きく貢献します。 「誰に向けて、どのような情報を発信するのか」を明確にして、定期的に更新することで、効果的なウェブマーケティングが可能になるでしょう。
「ブログを始めたいとは思っているけれど…」という人は、まず簡単な記事から投稿してみてはいかがでしょうか。続けていくことで、成果につながっていくはずです。
ブログの効果はすぐには実感できないかもしれません。 定期的な更新、記事の共有、分析、改善など、多角的に取り組みながら継続することが重要です。
ビジネスの運営に貢献できるブログ記事の参考になれば幸いです。
事務所サイトの効率的な作成順序
①事務所概要ページ
(基本情報の記載のみで作成しやすい)
②お問い合わせページ
(プラグインを活用すれば短時間で作成可能)
③サービス案内ページ
(情報の整理が必要だが、内容が決まればスムーズ)
④トップページ
(他のページをもとにデザインし、全体の統一感を持たせる)
⑤ブログ記事
(必須コンテンツができたら、投稿で情報発信をしていく)
社労士事務所サイトのWebページについては、こちらの記事で詳しくご紹介します。
