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社会保険労務士がDXに対応するには?業務・スキル・ツール

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デジタルトランスフォーメーション(DX)が多くの業界で進んでいます。社会保険労務士も例外ではありません。

労務管理や社会保険手続きのデジタル化が進み、社労士業務は減少するといわれています。そんな社会の変化に適応するには、「DXに強い社労士」になることが必要なのではないでしょうか。

ここでは、DXを活用した社労士の業務、必要なスキル、具体的なツールについてご説明します。

社会保険労務士とDX

社労士業務の独占業務は、書類作成や手続き代行です。これらの業務はDXによって依頼そのものが減る可能性が高いといえます。

社労士も事務所業務のDX化を進めることで、ノウハウをクライアントに展開したり、手続き業務からコンサルティング業務を強化するなどができるようになります。

社労士にDXが求められる背景

デジタルを活用して、業務を効率化し、事業を成長させる目的でDXが進んでいます。多くの業界で取り組みが進み、コロナ禍を経て、社労士業務でもデジタル化が進行しています。

手続き業務のDX

紙の対応が多かった手続き業務において電子申請が進み、捺印が不要なものも増えました。社会保険手続きは、システムを導入すれば企業の担当者が簡単に電子申請できるようになっています。

勤怠管理のデジタル化

テレワークやリモートワークの普及に伴い、勤怠管理や労働時間の適正な把握が求められるようになりました。紙の管理や手作業での処理では非効率なため、データ化が進んでいます。クラウド型のシステムも導入されています。

業務効率化のニーズ

企業は、業務の自動化を進めることで事業の成長を目指しています。社労士への依頼業務も、電子申請やデジタルを活用した手法を取り入れることで、より迅速かつ正確な対応が求められています。

デジタル技術の適応

法改正が頻繁に行われるなかで、最新情報を効率的に把握し、適用する必要があります。DXを活用すれば、最新情報をリアルタイムで管理し、クライアントに適切なアドバイスを提供できます。

DXが進む社労士の業務

社労士の手続き業務はもちろん、手続きのほかの業務においてもDX化が進んでいます。

労働・社会保険の手続き業務

労働保険・社会保険の手続き代行は、社労士の代表的な業務です。システムを導入する企業も増えていくことから社労士も関わり方を変えていくことになる可能性があります。

  • クライアント使用のシステムを導入
  • 手続きに関する相談・質問に対応

給与計算の業務

給与計算は多くの場合、これまでもソフトなどを使って行われています。給与計算をするためには、勤務データを確定する必要があり、勤怠はタイムカードなどで管理されてきました。この紙での管理がシステム化されるようになっています。

対面からオンラインへ

対面が多かった社労士業務ですが、オンラインでの対応も増えています。オンラインであれば遠方のクライアントにも対応できますので、業務拡大のチャンスがあります。

DXに必要なスキル・ツール

これからの社労士にとって、デジタル化の基本的なスキルや代表的なシステムの情報は必要になるでしょう。

クラウドシステムの活用

社労士業務では、クラウド型の勤怠管理システムや給与計算ソフトを導入する企業が増えています。代表的なツールとして次のようなものがあります。

  • SmartHR(労務管理)
  • freee人事労務(給与計算)
  • マネーフォワードクラウド給与(給与計算)
  • KING OF TIME(勤怠管理)

これらのツールを活用することで、クライアントの業務効率化をサポートできます。

電子申請の知識と実践

さまざまな手続きで電子申請の義務化が進んでいます。e-GovGビズIDを活用した電子申請の手順に慣れておくことで、迅速な手続きを提供できます。

書類作成ツールの活用

便利なオンラインツールが増えていますので、上手に活用することで、書類作成やデータ入力の業務を効率化できます。

DX活用の具体例

DXを活用することで、事務所業務を効率化できるだけでなく、社労士業務の付加価値を高めることにも役立ちます。

クライアントのDX支援

DXに強い社労士は、自身の業務効率化だけでなく、クライアント企業のDX推進にも貢献できるようになります。

  • 労務管理のペーパーレス化を支援
  • 勤怠管理の自動化システム導入のアドバイス
  • DX推進に関するセミナー開催

など、企業の業務改革をサポートすることができます。

チャットツールを活用した労務相談

社労士の労務相談は顧問契約に含まれることが多く、通常は電話やメールで対応することが多い業務です。担当者が対応するのが一般的で、担当者が不在だとすぐに回答できません。

顧問先とのコミュニケーションにビジネスチャットのツールを活用すると、グループで内容を確認できますので、担当者が不在でも内容によっては別の担当者から回答することもでき、顧客満足度の向上に役立ちます。

  • Chatwork(中小企業向けビジネスチャット)
  • Slack(世界中で使われているビジネスチャット)

書類作成の自動化

書類作成ツールを活用すると、手続き書類や規程の作成を自動化できます。手作業によるミスを減らし、業務の正確性とスピードを向上させることができます。

社労士事務所の情報セキュリティ

社労士事務所には、企業の人事・労務に関する機密情報を扱うため、高いレベルの情報セキュリティが求められます。

個人情報や給与データ、社会保険関連の書類など、漏洩すれば重大な影響を及ぼす情報を管理しているため、適切な対策を講じることが不可欠です。

情報漏洩とリスク

社労士事務所が扱う情報は、従業員の個人情報や企業の経営戦略に関わる重要データが含まれます。

  • 企業の信用失墜
    情報漏洩が発覚すると、クライアント企業の信頼を損なう可能性があります。
  • 法的責任の発生
    個人情報保護法やマイナンバー法に違反すれば、行政処分や損害賠償責任が生じる可能性があります。
  • 経済的損失
    クライアント離れや賠償金の発生によって、経営への打撃が避けられません。

物理的なセキュリティ対策

書類やデータを安全に保管するための物理的な対策が必要です。

  • 施錠管理
    クライアント情報を含む書類は鍵付きのキャビネットに保管します。
  • 入退室管理
    オフィス内への入退室を制限し、関係者以外の立ち入りを禁止します。
  • シュレッダーの活用
    不要な書類は適切に廃棄し、情報漏洩を防ぎます。

情報セキュリティの管理

クラウドシステムを導入することで利便性が向上しますが、同時に情報漏洩のリスクも高まります。社労士として、個人情報保護やセキュリティ対策に関する知識を持つことが重要です。

  • パスワード管理
  • 二段階認証の導入
  • データ暗号化の実施
  • 定期的なセキュリティチェック

といった対策を取ることで、クライアントの信頼を確保できます。

情報セキュリティの教育

情報セキュリティ対策を強化するためには、事務所全体での意識向上が欠かせません。

  • セキュリティポリシーの策定
    事務所内での情報管理ルールを明確にし、全員が理解できるようにします。
  • 定期的な研修
    従業員向けに情報セキュリティ研修を実施し、最新の脅威や対策について教育します。
  • アクセス権限の管理
    必要な人だけが特定の情報にアクセスできるように権限を設定します。
  • メールセキュリティ
    フィッシングメールや標的型攻撃への対策として、不審なメールを開かないよう周知徹底します。

社労士事務所における情報セキュリティ対策は、クライアントの信頼を守るために不可欠です。物理的、IT、人的の各側面から包括的な対策を講じることで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。

日々の業務においてセキュリティ意識を高め、最新の対策を行うことで、DX時代に安全で信頼される社労士になれるでしょう。

まとめ

クラウドツールの活用、電子申請、クライアントのDX支援、セキュリティ対策などを実践していくことで、DXに強い社労士として差別化を図ることができます。積極的に取り組みを続けていけば、競争力のある社労士として活動できるようになるでしょう。

これからの社労士業務において、DXの重要性はますます高まると考えられます。時代の変化に対応した新しい社労士を目指す参考になれば幸いです。