社会保険労務士は労務管理や労働・社会保険に関する専門家です。人事系のメジャー資格として、キャリアアップを目指して取得する人が多い資格です。
私も人事部に勤務しながら社労士試験に合格し、開業を経てフリーランスになりました。
では、社労士として活動するには、どのような人が向いているのでしょうか?
ここでは、求められるスキルや適性を踏まえて、社労士に向いている人を勤務社労士と開業社労士に分けてご説明します。
社会保険労務士とは
社労士は、企業の人事労務や社会保険手続きなどに関わる国家資格です。働き方が多様化し、労務管理が複雑化するなかで、社労士の専門性を活かした貢献が期待されます。
社労士の役割
社労士は社会保険労務士法に基づいた国家資格者で、主な業務は以下のとおりとされています。
主な業務
- 労働社会保険手続き業務
- 労働管理の相談指導業務
- 年金相談業務
- 紛争解決手続代理業務
- 補佐人の業務
(「全国社会保険労務士会連合会」より)
社労士の適性
社労士には、単に労働関連の専門知識があるだけでなく、コミュニケーション能力や課題解決能力も求められます。
コツコツ努力できる人
社労士試験は合格率が約6~7%と非常に低く、専門的な知識をしっかり学ぶ必要があります。試験合格後も、法改正が頻繁に行われるため、継続的に勉強することが求められます。
そのため、日々コツコツ努力できる人や、継続的に知識をアップデートすることが苦にならない人は、社労士に向いています。
細かい作業が得意な人
社労士の手続き業務では正確な作業が求められます。
一つのミスが企業や従業員に大きな影響を与えるため、細かい作業が好きな人や几帳面な性格の人に向いています。
コミュニケーション能力がある人
社労士は人と関わる機会が多い仕事です。企業の経営者や人事担当者、社員と対話しながら、適切なアドバイスをする必要があります。
そのため、説明が分かりやすく、相手の立場に立って話ができる人に向いています。
特に、労働問題の対応では、相談者が感情的になって場合もありますので、話をじっくり聞き、冷静に対応する力が求められます。
法律に興味がある人
社労士は労働に関する法律の専門知識を活用するため、法令や制度に興味を持てることが重要です。法改正が多いため、「新しい知識を学ぶのが楽しい」と感じられる人に向いています。
企業経営や人事労務に関心がある人
社労士は企業の労務管理を支援する立場にあるため、経営や人事制度に関心があることが強みになります。経営者の視点を理解できると、より効果的なアドバイスができるようになります。
社労士に必要なスキル
社労士として活動するには、労働関連の専門知識と実務を遂行するためのスキルが必要になります。
労働に関する専門知識
労働基準法、労働安全衛生法、社会保険に関する法律などを正しく理解して、適切に対応できる知識が必要です。
文書作成能力
労務管理に関するアドバイスやコンサルティングなど、分かりやすい文書を作る能力が求められます。難解な法律用語を、誰にでも理解できる形で伝えるスキルが重要です。
ITスキル
デジタル化が進み、手続き業務においても電子申請が主流になりつつあります。そのため、パソコン操作やクラウドシステムを活用できるITスキルも求められます。
社労士資格が役立つ人
社労士の資格を取得することは、企業の人事労務に携わる人はもちろん、独立して自分の事業をしたい人にも役立ちます。
企業の人事労務・総務担当者
企業で人事労務・総務に携わる人にとって、社労士は重要資格です。
社労士資格を取得することで、労務管理に関する実務能力が向上し、給与アップや管理職への昇進のチャンスが広がります。
- 労働や社会保険の知識を深められる
- 労務管理の専門家として評価される
- キャリアアップや転職に有利
独立・開業を目指している人
社労士資格を取得すれば、事務所を開業することができます。独立後は、自分のペースで仕事ができるため、自由な働き方を求める人に向いています。
定年後のセカンドキャリアとして社労士資格を目指す人も多くいます。
- 企業と顧問契約を結ぶことで安定した収入を得られる
- 労務コンサルタントとして専門的なアドバイスができる
- 年齢を問わず活躍できる
会社経営者・個人事業主
中小企業の経営者や個人事業主が社労士資格を取得することで、自社の労務管理を効率化できます。
経営者が社労士資格を持つことは、コスト削減につながるケースもあります。
法律に興味がある人
社労士資格の勉強を通じて、労働基準法や社会保険制度に関する専門知識を習得できます。法律に興味があって、専門性を活かして仕事をしたい人に役立ちます。
社労士の働き方
社労士には、企業や社労士事務所に所属する「勤務社労士」という働き方と自分で事務所を開業する働き方があります。
勤務社労士
勤務社労士は、企業の人事部門で労務管理を担当したり、社労士事務所でクライアントのサポートを行います。社員や職員として雇用され、安定した給与のもとで働くことができます。
開業社労士
開業して社労士事務所を運営する場合、専門知識に加えて営業力や経営視点も必要になります。専門性が高いだけでは事務所を続けることは難しくなります。
勤務社労士に向いている人とは?
勤務社労士には、組織で活躍できる資質と適性のある人が向いています。具体的には、次のような人は勤務社労士に向いているといえます。
組織の一員として働きたい人
勤務社労士は上司や同僚と協力しながら業務を進めることになります。
自分で全てを決めるような裁量は少ないですが、組織の一員として安定した環境で働けるメリットがあります。
指示を的確に理解し、チームワークを大切にできる人は、勤務社労士に向いているでしょう。
労務管理や社会保険に興味がある人
企業の人事部門であれば、就業規則の作成や労働時間の管理、給与計算などを担当することがあります。
また、社労士事務所勤務の場合、クライアント企業の手続きを代行したり、労働トラブルの相談に乗ったりすることがあります。
このような業務に興味がある人は勤務社労士として活躍しやすいでしょう。
コミュニケーション能力がある人
職場のマネジメントや社員、社労士事務所のクライアントとやり取りをする機会が多いため、コミュニケーション能力は欠かせません。
人事労務の業務は労働トラブルに対応することもありますので、冷静に話を聞き、適切な解決ができる人は、勤務社労士に向いているといえます。
事務処理能力が高い人
社労士の業務は、法律に基づいた手続きが多いため、ミスが許されない仕事です。間違いがあると、従業員の生活に影響を及ぼす可能性があります。
決められた手順を正しく理解して、慎重に作業を進めることができる人は、勤務社労士として高く評価されます。
安定した環境で働きたい人
勤務社労士は社員や職員として安定した給与を得ることができます。
「自分で営業をするのは苦手」「安定した収入を得ながら社労士の仕事をしたい」という人には、勤務社労士が向いています。
勤務社労士に向いている人をまとめると、次のようになります。
□組織の一員として働きたい
□労務管理や社会保険の実務に興味がある
□コミュニケーション能力があり、トラブル対応ができる
□事務処理能力が高い
□安定した環境で働きたい
開業社労士に向いている人とは?
開業社労士には、経営を成功するための資質と適性がある人が向いています。具体的には、次のような人は開業社労士に向いているといえます。
コミュニケーション能力が高い人
開業社労士として成功するためには、クライアントとの円滑なコミュニケーションが欠かせません。
企業の経営者や人事担当者と信頼関係を築くことで、継続的な契約につながります。
また、法律や制度を分かりやすく説明できる能力も重要です。相手にとって理解しやすい言葉で伝えられる人は、適性が高いでしょう。
自己管理能力がある人
開業すると、自分で仕事のスケジュールを管理し、業務を遂行しなければなりません。自己管理が苦手な人には厳しい環境です。
締め切りを守る、タスクを効率的にこなす、売上目標を設定するなど、自律的に動ける人が向いています。
経営視点を持っている人
開業社労士は「経営者」でもあります。単に社労士業務をこなすだけではなく、営業やマーケティングの視点を持ち、顧客を増やす努力が必要です。
ビジネスセンスがある人は、開業後の安定した運営につなげることができるでしょう。
- 自分の強みを活かしたサービスを展開できる
- 費用対効果を考えながら事務所運営ができる
- 収益を安定させるための戦略を立てられる
誠実で信頼される人
社労士の仕事は、クライアントからの信頼が非常に重要です。「この人になら安心して相談できる」と思われることが大切です。
誠実で責任感が強く、守秘義務を徹底できる人は、長く安定して仕事を続けられるでしょう。
粘り強さがある人
開業当初は顧客が少なく、収入が不安定になりがちです。そのため、最初の数年間は辛抱強く営業活動を続ける必要があります。
また、クライアントからの依頼によっては、問題解決に向けて粘り強く取り組む姿勢が求められます。
開業社労士に向いている人をまとめると、次のようになります。
□コミュニケーション能力が高い
□自己管理能力がある
□経営視点を持っている
□誠実で信頼される
□粘り強さがある
まとめ
社労士は、やりがいがあり、キャリアアップや独立の可能性も広がる仕事です。
独立を目指すなら、「自分のペースで自由に働きたい」という憧れだけでなく、自分に適性があるかを考えたうえで、開業することをおすすめします。
「社労士に向いているかも?」と感じた人は、まずは試験勉強を始めてみてはいかがでしょうか。社労士に必要な知識を学ぶことで、より明確な目標が見えてくるはずです。
①社労士試験の内容を知ろう
②社労士試験一発合格の計画を立てよう
③社労士試験の勉強方法:会社員の学習スタイル
④社労士試験の勉強時間:最短合格に
⑤社労士試験の独学勉強法:おすすめテキスト
⑥社労士試験の通信講座を見つけよう
⑦社労士試験の通学・スクールを選ぼう
⑧社労士試験勉強のコツ:労働関係科目編
⑨社労士試験勉強のコツ:社会保険科目編
⑩社労士試験直前期の勉強法:模試を受けよう
人事部門の社労士についてはこちらの記事でご紹介します。

社労士のキャリアパスについてはこちらの記事でご紹介します。

参考:厚生労働省、全国社会保険労務士会連合会