ファイナンシャルプランナーと社会保険労務士は、それぞれ資産運用やライフプランニング、労務管理や社会保険といった異なる専門領域を持つ資格ですが、相乗効果が期待できる分野があります。
ここでは、ダブルライセンスでスペシャリストを目指すために、効果が期待できるFP資格と社労士についてご紹介します。
ファイナンシャルプランナーと社会保険労務士
ファイナンシャルプランナーは幅広い分野の「お金」、社会保険労務士は「労働・社会保険」の専門家です。どの領域を強みにするかによって、差別化を図ることができます。
ファイナンシャルプランナーの役割
ファイナンシャルプランナーは、資産の運用や管理などファイナンシャル・プランニングの専門家です。顧客のライフプランをサポートするために資産計画を立て、最適な運用・管理の提案を行います。
主な業務
次のような分野のファイナンシャル・プランニングを行います。
- 税金
- 年金
- 生命保険、損害保険
- 金融商品
- 不動産
- 相続・事業継承
社会保険労務士の役割
社会保険労務士は、労働・社会保険の専門家として、企業の労務管理や社会保険手続き、就業規則の作成、年金相談などを行います。また、人事制度の構築、労働トラブルの対応といった業務にも携わります。
主な業務
- 労働保険・社会保険の手続き業務
- 就業規則の作成・変更
- 労務相談・コンサルティング
- あっせん業務
- 年金相談
ダブル取得のメリット
ファイナンシャルプランナーと社労士の資格を取得することで、違いを活かしたサービスの拡大と関係性のある年金やその他の社会保険の分野で専門性を高めることができます。
相談範囲の拡大
FPは資産運用やライフプランに強く、社労士は労務管理や社会保険に強いという特徴があります。両方の知識を持つことで、企業経営者や個人の顧客に対してより幅広い相談対応が可能になります。
企業と個人の双方をサポート
社労士として企業向けに労務コンサルティングを行うだけでなく、FPとして企業の福利厚生制度の設計、退職金や年金のアドバイス、経営者向けの資産形成支援などファイナンシャル・プランニングの提案をすることもできます。
信頼性の向上
FPの知識を持つ社労士は、企業の経営者から信頼を得やすくなります。また、社労士の知識を持つFPは、企業の労務管理や社会保険に関する専門知識を提供できるので、顧客の満足度向上につなげることができるでしょう。
収入アップの可能性
ダブルライセンスを活かして、複数の業務を組み合わせることで収益を多角化できます。一つの業務に付加価値を追加することで、高単価のサービス提供ができるようになります。
- 社労士業務+FP相談業務
- 年金相談+資産運用アドバイス
- 保険見直し+労務管理改善提案
企業向けの相乗効果
FPと社労士には年金やその他社会保険など関係性のある分野がありますので、クライアントに対して包括的なアドバイスを提供できます。
退職金制度
社労士が企業の退職金制度を設計し、FPが資産運用のアドバイスを行うことで、退職後の経済的な安定に貢献できます。
福利厚生
社会保険の専門知識を活かして、FPが企業型確定拠出年金(DC)などの活用を提案することで、顧客満足度をアップさせることができます。
事業継承
社労士の顧問先に対して、FPの専門性を活かして、相続税対策や事業承継のための資産管理をサポートすることで、スムーズな承継に貢献できます。
個人向けの相乗効果
個人のライフプランニングにおいても、FPと社労士のダブル取得で、より実効性のあるサポートが可能になります。
年金・保険
社労士の専門分野である公的年金や社会保険の仕組みを解説して、FPとして民間保険や資産運用を組み合わせることで、退職後の資産計画を最適化できます。
ライフプラン
ファイナンシャル・プランニングに、社労士が労働環境や社会保障の観点からサポートすることで、より現実的な将来設計ができるようになります。
経済的な安定
労働トラブルや解雇、病気による収入減少などのリスクに対し、社労士が法的サポートを行い、FPが生活資金の確保や保険の活用を提案することで、リスク管理が強化されます。
具体的な活用例
FPと社労士は、実際の業務で次のように活用することができます。
社労士業務+FP相談業務
社労士事務所を運営しながら、FPとして個人向けのライフプラン相談を行う形態です。経営者や自営業者向けに老後資金や事業承継の相談を提供することで、差別化が図れます。
企業向け福利厚生コンサルティング
企業の福利厚生制度の設計や運用をサポートすることで、社労士とFPの専門性を活かしたサービスを提供できます。
- 退職金制度の見直し
- 確定拠出年金(DC)の導入支援
- 企業型保険の提案
企業と個人双方のサービス展開
社労士とFPのダブル取得で、企業・個人を問わず幅広いサービスを提供できます。
- 企業の労務管理と経営者の資産運用相談を行う
- セミナーや研修で扱えるテーマが増える
ファイナンシャルプランナーになるには
ファイナンシャルプランナーには、国家資格「FP技能士」と民間資格「AFP」「CFP」があり、レベルもいろいろですので、自分に合った資格を目指すことが重要です。
FP技能士
国家資格であり、1級、2級、3級の3つのレベルに分かれています。試験に合格することで厚生労働大臣認定の「技能士」として登録されます。
AFP
日本FP協会が認定する資格で、2級FP技能士と同等のレベルです。AFP認定研修を修了して、2級FP技能検定に合格したあとに日本FP協会に加入すると取得できます。
CFP
AFPを取得した後に受験できる上位資格です。海外でも通用する資格で、国際的なFPとして活躍することができます。
FP試験の概要
FP試験は、学科と実技の試験が実施され、主に「タックスプランニング」「ライフプランニング」「リスク管理」「金融資産運用」「不動産」「相続・事業承継」の分野から出題されます。
試験は、「きんざい(金融財政事情研究会)」と「日本FP協会」が実施していて、どちらを受験してもいいのですが、試験問題は違います。
3級
受験資格がありませんので、まず入門レベルの知識から習得したい人におすすめです。
- 受験資格:特になし
- 試験日:年3回
2級(AFP)
金融機関などでは、2級の取得を奨励しています。仕事で活かしたい人は2級を目指すことをおすすめします。受験資格はありますが、実務経験や認定研修を修了すれば2級からスタートすることもできます。
- 受験資格:3級FP技能検定の合格者、AFP認定研修の修了者、2年以上の実務経験者など
- 試験日:年3回
1級
独立などコンサルティング力を強化したい人には1級の取得をおすすめします。
- 受験資格:2級合格後の実務経験者など
- 試験日:年3回
- 学科試験:きんざいのみ
CFP
国際資格を取得したい人におすすめです。
- 受験資格:AFP認定者
- 試験日:年2回
- 学科試験:日本FP協会のみ
資格取得の勉強法
FP資格を取得するには、独学、通信・オンライン講座、通学・資格スクールで学ぶ方法があります。基礎知識の有無や目指すレベルによっても、最適な方法は変わってきます。自分に合った方法を選ぶことをおすすめします。
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社会保険労務士になるには
社会保険労務士になるには、試験に合格しなければなりません。社労士試験は出題範囲が広いので、計画的に学習を進める必要があります。
社労士試験合格への10ステップ
①社労士試験の内容を知ろう
②社労士試験の学習計画を立てよう
③社労士試験の勉強方法:会社員の学習スタイル
④社労士試験の勉強時間:最短合格に
⑤社労士試験の独学勉強法:おすすめテキスト
⑥社労士試験の通信講座を見つけよう
⑦社労士試験の通学・スクールを選ぼう
⑧社労士試験勉強のコツ:労働科目編
⑨社労士試験勉強のコツ:社会保険科目編
⑩社労士試験直前期の勉強法:模試を受けよう
まとめ
少子高齢化や労働環境の変化により、働き方や生き方が多様化しています。企業にとっても個人にとっても、これまでのような一般的な人生設計ではなく、個々に対応したサポートが求められるようになっています。
社労士とFPは、それぞれの専門知識を活かすことで、企業や個人に対してより包括的で質の高いサービスを提供できます。退職金制度の最適化、福利厚生の充実、年金・保険の提案など、多くの場面で相乗効果を発揮します。
今後の社会の変化に対応するためにも、多くの人が安心して働き、生活できる環境を整えることが求められています。社労士とFP資格を取得する際の参考になれば幸いです。
社労士におすすめのダブルライセンスについては、こちらの記事でご紹介します。

参照:社会保険労務士試験オフィシャルサイト、日本FP協会、金融財政事情研究会