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社会保険労務士が研修講師になるには?依頼されるコツ

社労士が社員研修・セミナー講師になるには:依頼されるコツ 社労士ナビ

社員研修やセミナーの講師は、社労士の専門知識を活かして、企業の成長や社員に直接貢献することができる仕事です。

大きなやりがいがあり、研修講師になりたい人も多いのではないでしょうか。

開業社労士にとっては、新たなクライアントを獲得できるチャンスがあり、集客に有利な仕事でもあります。

ここでは、社労士が研修講師になるためのステップ、成功するためのポイントについてご紹介します。

社会保険労務士の研修講師としてのニーズ

研修講師は得意分野についての依頼を受けることもありますが、実際は、企業がやりたいテーマに需要があります。

研修講師として活動する社労士に対して、企業からよく依頼されるテーマには一定の傾向があります。

ニーズが高いテーマについての専門性を磨くことが、研修講師として活動する近道といえます。

依頼が多い研修テーマ

企業が行う社員研修や説明会は、スキルアップや規則・制度の変更など、実施する必要のあるものが中心です。

ハラスメント防止研修

パワハラ・セクハラ・マタハラなど、企業が対応を迫られる「ハラスメント問題」は、全業種・全規模の企業で関心の高いテーマです。

社労士としての法的な知識と、現場でのトラブル事例を交えた研修にはニーズがあります。

メンタルヘルス・ストレスマネジメント研修

メンタルヘルス不調による休職者の増加や職場復帰支援の重要性を背景に、社員や管理職向けの心の健康に関する研修のニーズも高まっています。

産業医との連携や社内制度設計に携わっている社労士の研修は説得力があります。

労働基準法・労働時間管理の基礎研修

労働時間の適正管理は、企業にとって避けて通れない課題です。

基本的な法律知識から、実際の勤怠管理の注意点まで、社労士が具体的に解説することで、管理職の意識改革を促すことができます。

管理職向けコンプライアンス研修

企業のリスクマネジメントの一環として、管理職への教育研修が強化されています。

社労士による「管理者の責任」「職場での注意義務」「指導時の言動リスク」などに関する研修は、企業側からのニーズが高い分野です。

社会保険制度の基礎研修

担当者向けに、社会保険制度や年金制度の基本を解説する研修もニーズがあります。

社員のライフプランや福利厚生への理解を深めるために、専門家である社労士の研修が役立ちます。

社会保険労務士が研修を依頼されるには?

研修やセミナーが上手な講師は、特定の分野でなくても、さまざまなテーマで継続して依頼を受けられます。

社労士が行う社員研修やセミナーでは、受講した人が実務で活かせる知識やスキルを伝えることが重要です。

講師の役割
  • 知識の提供
    法律・労務管理・人事制度・職場環境改善などの専門知識を伝えます。
  • 実践的なスキルの指導
    労務管理の実務や人材育成の方法について具体的なノウハウを提供します。
  • 受講者の理解促進
    わかりやすく説明し、受講者の疑問や課題に対応します。
  • モチベーション向上
    学ぶ意欲を高め、実務で活かせるように支援します。

研修を依頼される社労士の共通点

社労士の資格を持っているだけで、研修講師の依頼が来るわけではありません。

研修講師として依頼される社労士には、いくつかの共通点があります。

共通点①

企業の目的・ニーズを理解している

企業が社員研修やセミナーを実施するには目的があります。研修やセミナーを行う企業のニーズを把握することが重要です。

  • 法改正への対応
    例:長時間労働の是正、人事制度の変更など
  • 労務管理の強化
    例:賃金体系の変更、人事評価制度の導入など
  • 社員のスキルアップ
    例:メンタルヘルス研修、コミュニケーション研修など

共通点②

強みのテーマがある

社労士にはさまざまな業務領域がありますが、まずは需要のあるテーマで自信を持ってできる分野について、しっかり準備することが重要です。

「この社労士に依頼すれば、効果的な研修が受けられる」 と思われれば、別のテーマでも依頼される可能性が高まるでしょう。

  • 労務・コンプライアンス
  • ハラスメント防止
  • メンタルヘルス対策
  • 人事評価・賃金制度
  • 労働時間管理

共通点③

わかりやすく伝える力がある

研修やセミナーを受けたことがある人なら誰でも、講師のスキルが受講後の満足度に大きく影響することは経験済みだと思います。

  • コミュニケーション能力
    受講者の関心を引きつけ、質問に的確に答える力が必要です。話し方だけでなく、ボディランゲージやアイコンタクトも意識すると良いでしょう。
  • ファシリテーションスキル
    一方的な講義ではなく、受講者の意見を引き出し、参加型の研修を行うことで、理解度が向上します。ディスカッションやワークショップを取り入れるのも有効です。

共通点④

スキルを磨いている

講師を続けるには、わかりやすく伝えるスキルが欠かせません。自分でもわかりやすいと思えるようにスキルを磨くことが必要です。

研修講師向けのトレーニングや他の講師のセミナーを見学するなども効果的です。

  • ロジカルな構成
    話の流れを整理し、受講者が理解しやすい形にする
  • わかりやすい話し方
    専門用語をかみ砕いて説明し、具体例を交える
  • スライドや資料の活用
    視覚的に伝える工夫をする

共通点⑤

研修内容をアップデートしている

労働関連の法改正や人事制度のトレンドは常に変化するので、最新情報を収集し、研修内容をアップデートすることが求められます。

また、知識の伝達ではなく、受講者が「自社でどう活用できるか」を考えられるように導く力が重要です。

ケーススタディやロールプレイを活用すると、実践的な学びにつながります。

社会保険労務士が研修講師になるルート

社労士が研修・セミナー講師として活動できる場はいろいろあります。

対面研修だけでなくオンライン研修のニーズもありますので、チャンスが増えています。

ルート①

商工会議所・経済団体・専門機関などのセミナー講師

商工会議所や経済団体、各種業界団体などでは、企業の経営者や人事担当者向けにセミナーを開催することが多く、社労士が講師として登壇する機会があります。

  • 業界団体の研修
    「建設業における労務管理のポイント」「医療業界の人事労務トラブル対策」
  • 商工会議所のセミナー
    「働き方改革と企業の対応策」「助成金を活用した人材育成」

このような外部セミナーでは、専門家としての知見を広めるだけでなく、他社の人事担当者や経営者とのネットワークを築く機会にもなります。

ルート②

研修会社やコンサルティング会社と提携する

研修会社やコンサルティング会社と提携し、講師として登録することで、企業からの依頼を受けて研修を行うことができます。

大手研修会社では「人事労務」「コンプライアンス」「リーダーシップ研修」などのテーマが人気で、社労士や人事経験者の専門知識を活かせるものが多くあります。

研修会社に所属することで、企画や運営を任せられるので、講義に専念できるメリットもあります。

ルート③

大学・専門学校・資格スクールの講師

大学や専門学校、資格スクールでは、社労士や人事の実務経験者を講師として招くことがあります。

例えば、社労士試験対策講座や人事関連の専門コースなどで、実務に基づいた講義を行うことができます。

特に、教育機関での講師経験があると、企業研修の講師としての信頼性も高まります。

ルート④

無料セミナーや自主開催をする

すぐに企業からの依頼を受けることが難しければ、自主開催も選択肢のひとつです。

まずは、実績作りから始めることをおすすめします。

  • オンラインセミナーを活用する
    ZoomやYouTubeなどを活用して オンラインセミナーを自主開催する方法があります。SNSで告知して、参加者を募ることで認知度を上げられます。
  • 企業向けの無料研修を実施
    興味を持ってくれそうな企業に 「初回無料で研修を実施します」 と提案し、実績を作るのも一つの方法です。

社会保険労務士が研修の依頼を受けるコツ

社労士が研修講師の依頼を受けるためには、 「PR戦略」「人脈作り」「研修の質向上」 のステップが重要です。

ステップ①|ブランディングとPR戦略を強化する

「研修を依頼したい」と思われる社労士になるためには、ブランディングとPR活動が効果的です。

  • ホームページ・ブログを活用する
    社労士事務所のホームページに 「研修・セミナーの案内ページ」 を作り、実施できるテーマや実績を掲載します。
  • SNSで情報を発信する
    SNSを活用して、企業が関心を持ちそうな情報を発信すると効果的です。
  • メルマガやニュースレターを発行する
    企業経営者や人事担当者向けに定期的なメルマガやニュースレターを発行して、研修の案内を行うのも効果的です。

ステップ②|企業とのつながりを作る

企業から直接依頼を受けるためには、人脈を広げることが重要です。

  • 商工会議所や異業種交流会に参加
    地域の商工会議所や経済団体が主催する交流会に参加して、企業経営者や人事担当者と接点を持ちましょう。
  • 他士業との連携
    他士業と連携して、合同セミナーを開催したり、顧問先の企業を紹介し合うのも有効です。
  • 人材派遣会社やコンサル会社と提携
    人材派遣会社や経営コンサルティング会社と提携し、研修講師としてのニーズを掘り起こすこともできます。

ステップ③|研修スキルを磨く

企業からの依頼を継続的に受けるためには、 研修の質を向上させることが重要です。

わかりやすい資料を作成する

スライドや配布資料は、シンプルにわかりやすくまとめます。

専門用語を多用せず、図表を活用すると理解しやすくなります。

単なるスライドの説明ではなく、実際の事例やストーリーを交えることで、受講者の理解が深まります。

参加型の研修を意識する

一方的な講義ではなく、ディスカッションやワークショップ形式を取り入れることで、実践的な研修になります。

受講者のフィードバックを活用する

研修後のアンケートから受講者の意見を収集して、次回の研修に活かすことで、より質の高い講義ができるようになります。

研修の実績を積む

実績を積むために、研修やセミナーをやってみましょう。セミナーのニーズは結構あるものです。私も知人からの依頼はそれなりにありました。

実績が増えると、企業からの依頼が来るようになり、活動の幅が広がります。

  • 知人の企業で研修を実施する
  • 知人の士業やコンサルタントと合同セミナーを実施する
  • 専門団体や公的機関のセミナーに登壇する

まとめ|社労士の研修は小さな実績が次の依頼につながる!

社労士が研修講師として活動するには、専門知識を活かしつつ、プレゼンテーションスキルやファシリテーション能力を磨くことが重要です。

まずは身近なセミナーや知人企業の社内研修などで経験を積んで、自分に合ったスタイルを確立してはいかがでしょうか。

社労士は、実務に基づいた具体的なアドバイスができますので、研修講師としての実践スキルを高めることで、長期的に講師として活動できるようになるでしょう。

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参考:厚生労働省、ハローワークインターネットサービス、商工会議所