社会保険労務士が独立して、事務所を開業するときには、お問い合わせやクライアントからの連絡を受ける手段が必要になります。
メールでの連絡が増えてはいますが、ビジネス用の電話番号は顧客とのスムーズなやり取りや信頼の獲得に大きく影響します。
ここでは、社会保険労務士が開業するときに電話番号を作成する方法についてご紹介します。
事業専用の電話番号
社労士が事業専用の電話番号を持つことには、次のようなメリットがあります。
- 信頼性の向上
携帯電話の個人番号ではなく、固定電話や専用番号を用意することで、事務所としての信頼度が高まる。 - プライベートとの分離
個人の電話番号を使わないことで、仕事とプライベートを区別できる。 - 業務効率の向上
電話応対を適切に管理し、業務時間内の対応を円滑にする。
では、具体的にどのように電話番号を取得すればよいのでしょうか。
固定電話を導入する
賃貸等で事務所を構える場合、固定電話を設置して、電話番号を取得します。
固定電話のメリット
- 安心感の提供
固定電話を持つことで、事務所や法人としての安定感を提供できる。 - 地域密着型の営業に適している
市外局番付きの番号は、地元の顧客に安心感を与える。 - 通信の安定性
携帯電話よりも安定した通話品質を確保できる。
通信事業者と契約する
NTTやKDDIなどの通信事業者を通じて、ビジネス向けの固定電話回線を契約して、新たに電話番号を取得します。月額料金は2,000円~3,000円程度です。
ひかり電話を利用する
インターネット回線とセットで利用できる「ひかり電話」は固定電話より安価で導入できます。月額料金は500円~1,500円程度です。
050番号の活用
IP電話サービスを利用した「050」番号も一般的になっています。月額料金は1番号あたり500~1,000円程度で利用できます。
050番号のメリット
- コストが安い
初期費用が低く、月額料金も安価。 - スマホやPCで利用可能
専用のアプリを使えば、スマホで発着信ができる。 - 全国どこでも利用可能
住所変更しても番号を変更せずに使える。
主な050番号提供サービス(アプリ)
050番号はアプリでも使用できます。いずれもオンラインで申し込みできて、無料や数百円からの基本料金と通話料で利用できます。
- 050plus
- SMARTalk
- LaLaCall
固定電話番号をスマホで利用
固定電話番号をスマホで利用できるクラウド型の電話サービスがあります。「03plus」のサービスでは、アプリをインストールして、スマホ1台でもうひとつビジネス用の電話番号を持つことができます。
社労士などの士業は、開業するときからビジネス用の電話番号が必要となり、固定電話の有無は事務所の信用に影響します。電話回線を契約しなくても利用できるサービスは、自宅などを事務所にする社労士や法人の新規立ち上げに便利です。
拠点を持たなくても固定電話番号が利用できる
通常、固定電話の番号を取得するには、該当する地域に物理的な拠点が必要です。「03plus」を利用すれば、全国どこにいても電話番号を取得・利用できます。
新たに事業所を構えなくても、地域の事務所であることを伝えることができます。
スマホ1台でビジネス専用番号を持てる
「03plus」は、スマートフォンのアプリを通じて発着信ができるので、専用の固定電話機を用意する必要がありません。
- 仕事用とプライベート用の番号を分けられる
- 外出先でも固定電話番号での通話ができる
- 電話機の設置コストや維持費を削減できる
低コストで導入可能
「03plus」の料金は、従来の固定電話回線と比較して安価です。クラウド型のため、工事費用や設備費が不要で、インターネット環境さえあればすぐに利用を開始できます。
- 月額基本料金:1,280円~(プランによる)
- 初期費用:5,000円~
- 通話料金:20円/30秒(10分かけ放題プランあり)
サービスの内容は変更になる場合がありますので、最新情報は「03plus」サイトをご確認ください。
複数の端末で共有可能
1つの電話番号を複数名で共有できます。電話番号を追加することもできます。
- 社員が複数人いる場合でも共通の番号で対応できる
- 事務所・自宅・外出先で同じ番号を利用できる
専用IP電話機
このサービス専用の固定電話機があり、LAN線に接続するだけで利用できます。スマホアプリより通話料が安く設定されていますので、発信が多い場合にお得です。
固定電話機とスマホアプリの併用
固定電話機で受けた通話を一旦保留して、スマホアプリでとるという運用ができます。 また、スマホアプリと内線通話(通話料無料)をすることも可能です。
利用している番号の移行
既に利用している電話番号を移行できるので、既存のクライアントや見込み客からの連絡も逃さずに運用できます。
機能・オプション
固定電話番号の利用や固定電話/FAXの利用といった基本的な機能に加えて、ビジネスに最適なオプション機能があります。
- WEB電話帳
- 時間外アナウンス
- 留守番電話
- クラウドFAX
- 転送電話
- 番号移転
- 全国主要局番でサービス展開
- 通話録音
- 自動音声応答
- チャット連携・共有機能
- 着信拒否の設定
スマホを事業用に利用する
スマホには、2つのSIMカードを使える「デュアルSIM」機能がありますので、持っているスマホを使って、仕事用とプライベート用を分けることができます。
デュアルSIM対応スマホを利用
- 仕事用とプライベート用を1台で管理
- 別々の番号で発着信が可能
- キャリアやプランを自由に選択できる
レンタルオフィスの電話応対サービスを利用する
レンタルオフィスでは、電話応対サービスを利用できるプランがあります。私は社労士事務所を開業したときに、レンタルオフィスの電話応対サービスを利用しました。
電話応対サービスのメリット
- プロによる電話対応
専門のオペレーターが顧客対応を代行。 - 業務負担の軽減
営業電話の対応や折り返し連絡の手間を削減。 - 信用度の向上
秘書サービスを利用することで、事業の信頼性が向上。
主なレンタルオフィスの電話応対サービス
レンタルオフィスを利用する場合は、電話応対サービスの有無を確認してから契約するとよいでしょう。
- リージャス
受付秘書付き、転送サービスあり。 - サーブコープ
プロの受付対応、転送サービス、メッセージ通知の利用可能。 - CROSSCOOP
法人向けレンタルオフィス。有人スタッフの対応。
レンタルオフィスについては、こちらの記事でご紹介します。

フリーダイヤルを導入する
クライアントからの問い合わせを増やしたい場合、フリーダイヤルの導入も検討できます。
フリーダイヤルのメリット
- 顧客の通話料負担ゼロ
問い合わせしやすくなる。 - 信頼度アップ
法人としてのイメージ向上。 - 通話管理がしやすい
転送設定などで効率的に運用可能。
フリーダイヤルの取得方法
主な提供会社で月額1,000~2,000円程度のプランから契約できます。
- NTTコミュニケーションズ
- KDDI フリーダイヤル
- ソフトバンク
電話番号選びのポイント
社労士事務所の電場番号には、いくつかの選択肢がありますので、次のような点に留意して選びましょう。
ポイント
- 事業の信頼性を考慮する
クライアントやお問い合わせする人にとって安心できる番号を選ぶ。 - コストとのバランスを取る
初期費用や月額料金を比較し、無理のない範囲で選ぶ。 - 業務の効率化を意識する
転送機能や自動応答機能を活用し、業務負担を減らす。
電話番号の比較表
項目 | 固定電話 | 050番号 | スマホアプリ | デュアルSIM | 電話サービス |
---|---|---|---|---|---|
信頼性 | 高い | やや高い | 高い | 低い | 高い |
利便性 | 普通 | 普通 | 高い | やや低い | 低い |
プライベート分離 | 完全分離 | 分離 | やや分離 | やや分離 | 完全分離 |
費用 | 高い | 安い | 安い | 安い | サービスによる |
まとめ
社労士事務所を開業するときには、電話番号選びがビジネスの信頼性や業務効率に大きく関わります。
事務所の開業と並行して、コンサルティングや給与計算など別会社の設立を検討する人もいるでしょう。固定電話、050番号、スマホ、フリーダイヤルなど、ビジネスの用途に応じた電話番号を選ぶことが重要です。
開業時には、コストを抑えつつ、わかりやすく、信頼できる電話番号を取得する必要があります。スムーズな事業運営に役立つ電話番号の参考になれば幸いです。
社労士事務所の開業10ステップ
①社労士事務所のオフィスを決める
②社労士の名刺を作る
③社労士のメールアドレスを作る
④社労士事務所の電話番号を作る
⑤社労士事務所のコンテンツを決める
⑥社労士事務所のホームページを作成する
⑦社労士事務所のウェブサイトを運営する
⑧社労士事務所のパンフレットを作る
⑨社労士事務所のロゴを作る(適宜)
⑩事務所名やロゴの商標登録をする(適宜)
参照:NTT東日本、KDDI、ソフトバンク、NTTコミュニケーションズ、その他サービス提供会社公式サイト